呼吸器内科
研修の概要
2年間の初期臨床研修終了者が、一般呼吸器疾患の全般にわたる基本的な知識・技能を習得し、専門医資格取得への研修を行うことを目的とする。 ただ専門医としての資格を取るだけでなく、チーム医療の中心となるべく人材の育成をおこなう。また学会発表・論文作成を積極的におこない、臨床研究・基礎研究への興味を持っていただく。
研修の特長
東播磨地区は呼吸器に造詣の深い開業医・勤務医の少ない地区である。加古川市・高砂市を中心とした約35万人の医療圏の呼吸器診療を支える立場として、当院で全て治療が完結できるよう体制を整えてきた。肺悪性疾患だけではなく、救急疾患も多いため、一般呼吸器疾患を多く経験できて偏りない研修が可能である。主な特長としては、
1.教育施設であり資格認定ができること
当院は、兵庫県では数少ない呼吸器学会認定施設およびアレルギー学会認定教育施設である一般病院である。呼吸器内視鏡学会関連教育施設でもある。専門医取得のための症例数は十分あり、呼吸器内科医として習得すべき機器(睡眠ポリグラフ検査、呼気NO、呼吸抵抗装置など)もそろっている。
2.当院完結の治療体制
PET-CTなど画像診断機器が充実しており、CT下生検やアンギオなど放射線診断・IVR科/放射線治療科と連携しておこなっている。気管支鏡検査、局所麻酔下胸腔鏡検査も積極的に行っており、最新の超音波内視鏡システム(EBUS)の技術修得が可能である。また呼吸器外科と同じ病棟なので胸腔ドレナージの手技など相談がいつでも可能で、常勤放射線治療医も赴任されたことから肺悪性疾患を含めたすべての治療が当院で完結できる。また放射線診断・IVR科/放射線治療科・呼吸器外科と週1回、画像診断と治療方針に関するカンファレンスをおこなっている。
3.総合病院としての強み
呼吸器疾患は、数多くの分野で他科との連携を必要とする。 喘息・アレルギー疾患であれば耳鼻科・皮膚科・小児科など、間質性肺炎であれば皮膚科・リウマチ膠原病内科、肺高血圧であれば循環器内科・リウマチ膠原病内科などは一例である。 一般病院なので連携はしやすく垣根は低いので、科横断的に幅広い研修ができる。
4.チーム医療への参加
院内には多くのチームがある。 がん診療における緩和ケアチームによる技量は呼吸器内科医としては習得すべきである。 他に院内感染対策チーム(ICT)、栄養管理チーム(NST)、呼吸管理チーム(RST)などがあり、それらに参加することもできる。
5.理学療法士や薬剤師などの医療スタッフとの連携
呼吸器診療は薬物治療だけで不十分で、呼吸器疾患患者の在宅でのADL維持に向け、理学療法士の役割が重要である。当院には呼吸療法認定士が数名在籍しており、OT/PTによる呼吸器・運動リハビリだけでなく、STによる嚥下リハビリも行っているので嚥下障害に対する知識も習得できる。2014年より院内外に向けて定期的に呼吸リハビリの勉強会を重ねている。また、喘息やCOPD急性増悪における吸入指導の勉強会もおこなっていて、病院薬剤師と院外調剤薬局との交流もしている。
当院はJRが近くて交通の便がよいため、大阪や神戸、姫路での学会や研究会に参加しやすい位置にある。 神戸大学呼吸器内科主催のカンファレンスも年に数回ある。積極的に参加していただく方針で、症例発表の機会も多い。 専門医取得のための論文作成をめざすが、余裕があれば臨床研究もできる。神戸大学など、大学院への進学も可能である。
週間スケジュール
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | |
朝 | 病棟カンファレンス |
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画像読影
カンファレンス
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午前 | 気管支鏡検査 | 肺がんカンファレンス (週1回、木または金) |
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午後 |
呼吸器カンファレンス
(呼吸器外科・放射線診断・IVR科合同)
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気管支鏡検査 | 気管支鏡検査 | |||
夕方 |
総合内科カンファレンス
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*抄読会はウェブ参加方式で開始予定 |
稼働実績・診療実績
専攻医 実績件数
入院受け持ち患者(2021年度 1か月あたり)
専攻医 2年目 |
専攻医 2年目 |
専攻医 1年目 |
専攻医 1年目 |
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喘息・COPD | 0.2 | 0.6 | 0.8 | 0 |
肺悪性腫瘍 | 5.8 | 7.2 | 6.8 | 3.3 |
呼吸器感染症(COVID-19含む) | 7.6 | 4 | 4.8 | 4 |
間質性肺炎 | 2.2 | 2.4 | 0 | 1.7 |
気胸・膿胸・胸水 | 1.4 | 1.6 | 1.2 | 2.3 |
肺循環疾患 | 0 | 0 | 0 | 0 |
喀血 | 0.4 | 0 | 0 | 0.3 |
OSAS(PSG) | 0.4 | 0.2 | 0.2 | 0 |
そのほか内科一般 | 0.4 | 0.2 | 0.2 | 0.7 |
計 | 18.4 | 16.2 | 14 | 12.3 |
(ローテ月) | (5ヶ月) | (5ヶ月) | (4ヶ月) | (3ヶ月) |
業績
学会・研究会・講演会
投稿論文
診療風景
気管支内視鏡検査
左右:専攻医
左:指導医、右:専攻医
勉強会風景
呼吸器リハビリ勉強会
COPDなどの慢性呼吸不全患者に呼吸リハビリをすることにより、呼吸苦など自覚症状が改善するだけでなく酸素が不要になることを実際に経験します。薬物療法に匹敵する呼吸リハビリの重要性を学ぶために、高名な講師をお招きし基本的な理学所見の取り方から実践講義をしていただきました。加古川リハビリテーション研究会も立ち上げ、近隣の病院や看護ステーションのスタッフまで門戸を広げていますが、講演・実技は理論的であり、医師も知っておくべき大切な内容です。
<神戸大学医学部保健学科 石川朗教授>
第1回(2014/2/20):身体所見の取り方
第2回(2014/9/30):フィジカルアセスメント
第3回(2015/4/9):呼吸音の聴診の取り方
第4回(2015/11/24):誤嚥性肺炎
第5回(2016/9/28):呼吸ケア・リハビリテーションの基礎
第6回(2016/10/20):フィジカルアセスメント
第7回(2016/11/28):呼吸理学療法基本手技
第8回(2017/11/27):呼吸ケア・リハビリテーションの基礎
第9回(2018/1/29):フィジカルアセスメント
第10回(2018/2/19):呼吸理学療法基本手技
第11回(2018/12/4):呼吸ケア・リハビリテーションの基礎
第12回(2019/1/10):呼フィジカルアセスメント
第13回(2019/2/7):呼吸理学療法基本手技
第14回(2019/11/25):呼吸ケア・リハビリテーションの基礎
第15回(2018/12/16):フィジカルアセスメント
第16回(2020/1/8):呼吸理学療法基本手技
加古川リハビリテーション研究会
2016/10/28-29 <長崎大学医学部保健学科 神津玲教授>
2017/6/24-25 <長崎大学医学部保健学科 神津玲教授>
2018/11/2-3 <Respiratory Advisement Ys’ / 順天堂大学大学院 佐野裕子先生>
2019/10/13 <昭和大学保健医療学部理学療法学科 宮川哲夫教授>
吸引指導勉強会
次々と新しいデバイスの異なる吸入薬が発売され、喘息・COPDの治療薬選択が重要です。近隣の調剤薬局、当院薬剤部・看護部と合同で定期的に勉強会を開いています。最新の吸入療法を紹介することにより、指導箋を用いた適切な患者指導と院外薬局からのフィードバックをお願いしています。当地域の喘息・COPD診療の認知度と診療レベルの向上をめざし地道におこなっています。
<加古川西市民病院>
①2013/7/18(立ち上げ)
②2014/1/30 ③2014/5/29 ④2014/11/18 ⑤2015/6/9 ⑥2016/2/2 ⑦2017/6/14
<加古川中央市民病院>
⑧2017/9/1 ⑨2018/2/7 ⑩2017/10/11 ⑪2018/3/15 ⑫2018/9/6 ⑬2019/3/28 ⑭2019/10/3 ⑮2020/4/1 (コロナのため中止)
広報誌
つつじ(市民・患者さん向け広報誌)
- 平成29年05月発行号
「呼吸器疾患」の特集を掲載しています。
- 平成28年06月発行号
「がん集学的治療センター」の特集を掲載しています。
指導医からのメッセージ
呼吸器内科 主任科部長 西馬 照明
2016年7月合併して開設された、600床の神戸以西では最大規模の病院となりました。周囲に大きな建物が少ないので景色がとてもいいです。加古川・高砂地区はいわゆる郊外地域で、都会すぎず、工場に住宅地もあればのどかな地域もあってとてもバランスのいい土地です。呼吸器疾患はとても多いですが専門医は少ないため、呼吸器内科設置後、患者数は常に前年を超える数をこなしています。新病院で定期的に呼吸器外科手術も可能になったことから、毎日の呼吸器内科外来に加え緊急入院・検査も多くなってきました。指導医3名でスタッフもさらに増員中ですが、若手が少なく、まだまだ当科は発展途上です。経験者はもちろん大歓迎ですが、専門施設での勤務経験は関係ありません。少しだけ勉強したい人、途中からの人、迷っている人、フルに勤務の出来ない人、とても垣根を低くしていますので、ぜひ一緒に働きましょう。
自分は呼吸器内科を専門にしたのは6年目の終わりです。基礎研究から臨床研究に至るまで幅広くかじったので臨床一筋でありませんでした。しかし呼吸器疾患に凶器がひかれるところは、呼吸器が多様な細胞から構成される臓器であり、そのため起こる多彩な疾患のメカニズムを理解していくところです。心臓と密接し全身管理ができること、画像診断もまた魅力です。呼吸器内科は面白く感じませんか?
また当院は一般病院ですがテーマをもって学会報告や論文作成ができる力を養成したいと考えています。神戸大学時代からのノウハウを生かして臨床研究と学会活動を積極的に行う方針です。地域医療に貢献するだけでなく、是非この地域から情報発信もしていきましょう。
後期研修医からのメッセージ
Y.A(呼吸器内科 医師 2020.5)
私は加古川中央市民病院の呼吸器内科で、3年間の後期研修を行わせて頂きました。初期研修2年間を大学病院で行っており、専門科へ進むにあたって、まずはcommon diseaseを含む数多くの症例の経験や手技の習得が必要であると考え、豊富な症例を診ることができる当院を選択させて頂きました。
実際に呼吸器内科で研修を開始し、肺癌、肺炎、COPD、気管支喘息、間質性肺炎、気胸等、多岐にわたる症例を主治医として診療させて頂き、気管支鏡検査や胸腔鏡検査に関しても、数多く経験することができました。他院から気管支鏡の指導に来てくださる先生もいらっしゃいます。
また、病棟の患者さんのことや、外来診療のことなど、上級医に気兼ねなく相談をすることができ、さらに多くのフィードバックを頂くことができたため、後期研修医として非常にありがたいことでした。各科の垣根が非常に低いことも特長であるように思います。
学会や勉強会での発表の機会も多く与えて頂き、日常診療で経験した症例を、文献考察を交えながら改めて自分の頭で整理し、定着させることができました。
さらに、日々の業務の中で、オン・オフをしっかりとつけられるように配慮頂いており、メリハリのついた研修を送ることができます。
専門科へ進んだ最初の時期は、基本的な知識や診療の進め方が、ほぼ何も身についていない時期であると思いますので、たくさんの症例を経験し、それもただこなすだけではなく、可能な限りそれぞれを振り返りながら診療にあたることで、ステップアップにつながるかと思います。そのような意味で、当院はこの上ない恵まれた環境であったように思います。
まだまだこれからも呼吸器内科医として勉強を続けていかなくてはなりませんが、専攻医としての研修はその土台となるものであり、当院を選択して本当によかったと思っています。もし研修病院で迷われることがあれば、是非、当院呼吸器内科をご検討ください。
I.H(呼吸器内科 専攻医 2016.10)
当院呼吸器内科の後期研修の魅力
呼吸器内科をとにかくやりたい!と思って、こちらに専攻医として赴任して半年、新病院になって3か月経ち、ようやく落ちついてきました。肺炎、喘息、COPDといったcommonな疾患から、肺癌、間質性肺炎、胸膜疾患など専門的な疾患まで、加古川・高砂地域の呼吸器診療の中心として目まぐるしく症例が集まってきます。知識・経験ともにまだまだ乏しいですが、日々悩みながらも新鮮な気持ちで勉強させていただいています。
当科の特徴として、①気管支鏡・胸腔鏡検査の豊富さ、②各科との連携、③充実した施設、④部署間を超えた勉強会、⑤アツい指導医が挙げられます。
①の気管支鏡・胸腔鏡検査に関しては、週2回の枠は毎回ほとんどいっぱいで、内腔の観察から、擦過/TBB・BAL/TBLBなどの手技まで少しずつ指導していただいています。今は専攻医が少ないため、かなりの数をトレーニングできます。
②の各科との連携に関しては、呼吸器外科と同病棟であり、呼吸器科として一緒に診療をすすめていくことができます。肺癌、気胸などの胸膜疾患を常に相談でき、胸腔ドレーン留置の手技を丁寧に指導いただいています。そのほか、各内科に留まらずすべての科がそろっているため、合併疾患などもコンサルトしやすい環境にあります。
③の施設に関しては、呼気NOやモストグラフを含めた肺機能検査によって、専門的な評価が可能です。また、PET-CTやリニアックといった放射線設備も整っています。
④の部署間を超えた勉強会に関しては、薬剤師との吸入指導勉強会、PT/OT/STとの呼吸リハビリ勉強会などがあります。喘息・COPDに欠かせない吸入治療は、年齢や吸入力、コンプライアンスを考えながらデバイスを選択しなければなりません。実際に吸入指導をする観点からお話しを聞くことができます。呼吸リハビリは、呼吸法や排痰練習、酸素投与下での歩行練習など、患者さんが疾患と付き合いながら生活するために必要な訓練です。勉強会では他施設とも合同で行っています。
⑤の指導医の先生に関しては、それぞれ専門分野が多岐に渡っているため、アレルギーや感染症、肺癌、緩和ケアなどより深い呼吸器診療を学ぶことができます。
当科の研修をまとめますと、熱意ある手厚い指導のもと、楽しく研修できるとても”アツい”科です。呼吸器やってみたいなと思われる方は、まずは一度見学にお越しください。ぜひ一緒に呼吸器を勉強しましょう!!
学会認定
スタッフ紹介
西馬 照明(にしうま てるあき)
役職 | 呼吸器内科 主任科部長 (兼)臨床研究・治験センター 副センター長 |
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専門分野 | 呼吸器内科 |
学会専門医・認定医 | 日本内科学会総合内科専門医・指導医 日本呼吸器学会呼吸器専門医・指導医 日本感染症学会感染症専門医・指導医 日本アレルギー学会アレルギー専門医・指導医 日本呼吸器内視鏡学会気管支鏡専門医 ICD制度協議会 インフェクションコントロールドクター 厚生労働省認定臨床研修指導医 神戸大学医学部臨床准教授 医学博士 |
堀 朱矢(ほり すや)
役職 | 呼吸器内科 科副部長 |
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専門分野 | 呼吸器疾患 |
学会専門医・認定医 | 日本内科学会総合内科専門医・指導医 日本呼吸器学会呼吸器専門医・指導医 日本がん治療認定医機構がん治療認定医 日本医師会認定産業医 厚生労働省認定臨床研修指導医 医学博士 |
徳永 俊太郎(とくなが しゅんたろう)
役職 | 呼吸器内科 医長 |
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専門分野 | 呼吸器内科 |
学会専門医・認定医 | 日本内科学会総合内科専門医・指導医 日本呼吸器学会呼吸器専門医 医学博士 |
多木 誠人(たき まさと)
役職 | 呼吸器内科 医長 |
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専門分野 | 呼吸器内科 |
学会専門医・認定医 | 日本内科学会総合内科専門医 日本呼吸器学会呼吸器専門医 日本アレルギー学会アレルギー専門医 厚生労働省臨床研修指導医 |
藤井 真央(ふじい まお)
役職 | 呼吸器内科 医長 |
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専門分野 | 呼吸器内科 |
学会専門医・認定医 | 日本内科学会認定内科医・指導医 日本呼吸器学会呼吸器専門医 |
藤岡 美結(ふじおか みゆ)
役職 | 呼吸器内科 専攻医 |
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専門分野 | 呼吸器内科 |
学会専門医・認定医 |
平位 一廣(ひらい かずひろ)
役職 | 呼吸器内科 専攻医 |
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専門分野 | 呼吸器内科 |
学会専門医・認定医 |
髙原 夕(たかはら ゆう)
役職 | 呼吸器内科 専攻医 |
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専門分野 | 呼吸器内科 |
学会専門医・認定医 |
松本 夏鈴(まつもと かりん)
役職 | 呼吸器内科 専攻医 |
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専門分野 | 呼吸器内科 |
学会専門医・認定医 |
藤本 佑樹(ふじもと ゆうき)
役職 | 呼吸器内科 専攻医 |
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専門分野 | 呼吸器内科 |
学会専門医・認定医 |
黒田 修平(くろだ しゅうへい)
役職 | 呼吸器内科 専攻医 |
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専門分野 | 呼吸器内科 |
学会専門医・認定医 |
佐伯 悠治(さえき ゆうじ)
役職 | 呼吸器内科 専攻医 |
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専門分野 | 呼吸器内科 |
学会専門医・認定医 |
問い合わせ
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