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形成外科


診療科の特徴

形成外科の対象範囲と疾患は多岐にわたっており、代表的な疾患としては熱傷、顔面外傷(顔面骨骨折を含む)、口唇口蓋裂・合指症・多指症・内反症・折れ耳や埋没耳・臍突出症などの先天奇形、皮膚・皮下腫瘍、傷跡・ケロイド、褥瘡・足壊疽などの難治性潰瘍、といったものがあります。その他、当院では静脈瘤、リンパ浮腫といった治療も行っております。患者さんにわかりやすい説明を行い、その上でしっかりした治療を行うこと心がけております。


診療可能疾患

新鮮熱傷(ヤケド)

熱傷(ヤケド)は日常生活において最も多い外傷の一つで、できるだけ早く・キレイに・痛みなく治す治療を心がけております。しかし、ヤケドの大きさや損傷の深さによっては、手術が必要な場合もあります。また、治った傷跡がケロイド状になったり、引きつれなどの後遺症を起こすこともあり、その場合は形成外科にて治療を行います。

顔面外傷(顔面骨骨折を含む)

顔面部では、表面の皮膚のキズだけでなく、顔の骨の骨折や神経・涙のとおる管といった様々な機能を持つ構造物の治療も行います。顔面部は露出部であるため、傷あとや変形および機能的な後遺症ができるだけ残らないような方法で治療を行います。

その他の新鮮外傷

顔面だけでなく、体表のさまざまな部位でのケガについても対処します。

口唇裂・口蓋裂

これらについては、以下をご参照ください。

手足・その他の先天奇形

手の指・足の趾(ゆび)が生まれつきくっついていたり、多かったりしている、合指(趾)症・多指(趾)症などの治療を行います。その他、折れ耳や埋没耳などの耳の治療、先天性眼瞼下垂症や内反症(いわゆる「逆まつげ」)などの目の治療、陥没乳頭や臍突出症などの体幹の治療を行います。

皮膚・皮下腫瘍

皮膚にできる母斑(ホクロ)や脂肪腫、粉瘤などの良性腫瘍から悪性の皮膚腫瘍まで幅広く手術治療を行っています。治療にあたっては、キズ跡が最大限目立ちにくい方法で手術を行っております。

赤あざ

当院ではVビームと言われる最新式のレーザーを導入しています。イチゴ状血管腫・単純性血管腫といった、いわゆる「赤あざ」の治療を行っています。太田母斑、異所性蒙古斑といった、いわゆる「青あざ」に対する治療については、当院では最適のレーザーを導入しておらず、近隣の形成外科を紹介いたします。

傷跡・ケロイド

赤くみみずばれのように盛り上がる傷跡は、一般的に「ケロイド」と思われることが多いですが、専門的にはケロイド・肥厚性瘢痕・肉芽腫・成熟瘢痕・瘢痕拘縮といったものの可能性があり、それぞれ治療法が異なります。手術以外の治療は内服・圧迫・局所注射などを行います。手術療法としては、Z形成術・Y-V形成術といった形成外科独特の手技を用いて、術後は内服・圧迫・電子線療法なども併用します。
褥瘡・足壊疽などの難治性潰瘍

下肢静脈瘤

静脈には、血液の逆流を防ぐための弁がついていますが、下肢静脈瘤は下肢の静脈の弁が壊れて、血液が逆流しやすい状態になったものです。足の血管がこぶのように膨らんだ、足がつる、むくむ、疲れやすい、皮膚が変色した、かゆい…これらは下肢静脈瘤の症状です。治療法は以下のものがありますが、当院は症状・エコーなどの各種検査を評価し、形成外科と内科が協力してそれぞれの患者さんに最適な治療を行っています。

治療法

保存療法(圧迫療法)

医療用の弾性ストッキングや弾性包帯で、下肢に適度な圧力を与えることで下肢に余分な血液がたまることを予防し、下肢の深部にある静脈(深部静脈という下肢静脈の本幹)への流れを助けます。弾性ストッキングなどによる圧迫療法は、あくまでも進行防止・現状維持が目的で、下肢静脈瘤そのものが治るわけではありませんが、下肢静脈瘤の治療上とても重要です。

硬化療法

静脈の中に、硬化剤という薬剤を注入し、静脈の内側の壁と壁をくっつけてしまったり、血栓(血のかたまり)をつくり詰めてしまう方法です。ただ、硬化療法は軽度の静脈瘤以外には有効とはいえません。

ストリッピング手術(静脈抜去手術)

下肢静脈瘤の根治的な治療法として古くから行われている手術で、弁不全をおこしている静脈を引き抜いてしまう手技です。この方法は再発率が低く、一番確実な治療法です。当院では全身麻酔下に1週間程度入院していただいて治療を行います。

高位結さつ手術+硬化療法

静脈を引き抜くかわりに、弁不全をおこしている静脈を縛ったうえで、切り離してしまう治療法ですが、再発率が高く、当院では積極的には行っておりません。しかし、患者さんの状態によっては、硬化療法と併用して施行しています。

静脈内レーザー治療術

静脈内にレーザープローブを挿入し、静脈内側をレーザーで焼灼する最新の手術方法です。当院では入院で治療を行っています。

その他

腋臭症(わきが)

わきがの手術治療は健康保険の適応であり、当院でも行っております。

巻き爪・陥入爪

爪の切りかたの修正、靴の選択の指導を行います。必要があれば手術を行います。

顔面神経麻痺

顔面神経切除を伴う手術後や、ベル麻痺・ハント症候群などの急性期の治療が終了してなお残存する顔面神経麻痺による眉毛、まぶた、口唇などの変形に対して手術による治療を行います。当院では外見の改善を目的とした日帰りの小手術から、顔の動きの再獲得を目指す高度な手術まで対応しております。

後天性眼瞼下垂症

加齢や外力(白内障手術後、コンタクトレンズ長期装用、アトピーで頻繁にまぶたをこするなど)によって、上まぶたが十分に挙がらない状態になったものを後天性眼瞼下垂症といいます。当院ではまぶたが開きやすくなるだけでなく、整容的にも満足できるよう手術を行っています。

リンパ浮腫

リンパ浮腫とは、様々な原因によりリンパの流れが滞ってしまった結果、リンパ液が皮下組織に溜まり、四肢がむくんでしまう病気です。治療法としては、患肢挙上・安静・弾性ストッキングなどを用いた圧迫といった保存療法を行います。また、近年リンパ管静脈吻合術という新しい手術法が行われ、当院でも形成外科にて施行可能となっております。

この手術法は、むくんだ部分のリンパ管を静脈に縫合することで、うっ滞したリンパ液を中枢方向へ流そうという方法で、0.3 ~5mm程度の細いリンパ管を手術用顕微鏡の下で0.5 ~1mm程度の静脈に縫合します。また、皮膚の浅い所にまでしか手術操作を加えないため、患者さんへの負担が少ない手術ともいえます。

このようにリンパ管静脈吻合術はこれまで困難と言われてきたリンパ浮腫の治療に対して有効な治療法と考えられていますが、全ての患者さんに有効と言うわけではありませんので、まずは形成外科に受診していただき、診察の後に治療法を決定し、それぞれの病態に応じて適切な診断、治療をおこないます。

※その他の形成外科で扱う疾患については日本形成外科学会ホームページにも詳しく説明がのっております。ご参照ください。


診療実績

2016
2017
2018
2019
2020
外傷 106 222 278 220 204
先天異常 唇裂・口蓋裂 11 10 13 20 22
  手足・その他の先天奇形 37 59 84 89 85
腫瘍 良性腫瘍(レーザー治療を除く) 554 841 835 852 677
  悪性腫瘍 22 29 34 53 45
瘢痕・瘢痕拘縮・ケロイド 34 68 78 91 119
難治性潰瘍 63 104 129 121 169
炎症・変形疾患 170 222 230 200 228
その他 眼瞼下垂を含む 52 95 114 70 52
レーザー治療 290 314 330 364 309
合計 1,339 1,969 2,125 2,080 1,910

 


スタッフ紹介

岩谷 博篤(いわたに ひろあつ)

役職形成外科 主任医長
専門分野形成外科全般
学会専門医・認定医日本専門医機構認定形成外科専門医・指導医
日本形成外科学会皮膚腫瘍外科分野指導医
日本形成外科学会小児形成外科分野指導医
日本形成外科学会再建・マイクロサージャリ―分野指導医
日本創傷外科学会専門医
日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会乳房再建用エキスパンダー/インプラント責任医師
下肢静脈瘤血管内焼灼術実施・管理委員会 下肢静脈瘤レーザー焼灼実施医
厚生労働省認定臨床研修指導医
神戸大学医学部臨床講師

奥野 友孝(おくの ともたか)

役職形成外科 医師
専門分野形成外科全般
学会専門医・認定医日本形成外科学会形成外科専門医

伊藤 典紘(いとう のりひろ)

役職形成外科 専攻医
専門分野形成外科全般
学会専門医・認定医

柏木 瞭一郎(かしわぎ りょういちろう)

役職形成外科 専攻医
専門分野
学会専門医・認定医

外来担当医表



地域医療機関の先生方へ

形成外科の対象範囲と疾患は多岐にわたっており、代表的な疾患としては熱傷、顔面外傷(顔面骨骨折を含む)、口唇口蓋裂・合指症・多指症・内反症・折れ耳や埋没耳・臍突出症などの先天奇形、皮膚・皮下腫瘍、傷跡・ケロイド、褥瘡・足壊疽などの難治性潰瘍、といったものがあります。その他、当院では静脈瘤、リンパ浮腫といった治療も行っております。患者さんにわかりやすい説明を行い、その上でしっかりした治療を行うこと心がけています。
先ほど説明させていただきました疾患のほかにも、形成外科として先生方にお手伝いできることがあると思いますので、今後は積極的に地域の先生方に発信して行く所存です。 形成外科の対応疾患かどうか迷った場合でも、遠慮なくご紹介いただければ幸いです。


難治性潰瘍治療について

難治性潰瘍治療についての特色

皮膚にできた「創傷」、いわゆる「キズ」は、通常であれば特殊な治療を要さずに治すことができますが、感染・血管障害・知覚障害といった異常な要因があるために、「キズ」が治らなくなった状態を「難治性潰瘍」と言います。
その原因には、外傷、糖尿病、放射線照射、動脈硬化症や静脈うっ滞といった末梢血管病変、膠原病(リウマチなど)などがあります。難治性潰瘍は単独の診療科では治療が難しく、さまざまな職種が関与する必要があります。

当院では、心臓血管外科・内科・整形外科・形成外科といった複数の診療科が協力すると共に、看護師・薬剤師・栄養士・作業療法士といったコメディカルも積極的に関与し、集学的な治療を行っています。

地域の医療機関の先生方および地域の患者さんへ

当院では2012年7月から形成外科が開設され、さまざまな診療科・職種が協力して、難治性潰瘍の治療にあたっております。具体的には、初めに形成外科を受診していただき、そこで必要な治療方針を立て、各科の専門的な治療を並行して進めています。
褥瘡対策チームと下肢難治性潰瘍チームとして活動しておりますが、その他にも治らない「キズ」でお困りの患者さんがおられましたら、まずは形成外科を受診してください。

スタッフ紹介

心臓血管外科 循環器内科
大保英文 副院長 角谷誠 主任科部長
中村浩彰 科部長
整形外科 形成外科
西山隆之 主任科部長 岩谷博篤 主任医長

褥瘡対策チーム

褥瘡対策チームの紹介
褥瘡(じょくそう)とはいわゆる「床ずれ」のことを言います。当院の褥瘡対策チームは、医師(形成外科)・看護師(各病棟・手術室)・薬剤師・理学療法士・栄養士で構成し、入院患者さんが褥瘡を持っている場合や褥瘡が発生した場合に、褥瘡対策チームが介入して治療と予防を行っています。
褥瘡対策チームの活動
褥瘡回診として褥瘡を持った患者さんの診察を週に1回行っております。褥瘡回診の日以外で看護師が褥瘡を発見した場合は、その当日中に形成外科医師が診察に行ける体制をとっておりますので、早期発見・早期治療が可能です。また月に1回の褥瘡カンファレンスと勉強会を定期的に行っており、褥瘡の発生予防にも力を入れています。

下肢難治性潰瘍チーム

下肢難治性潰瘍、いわゆる「足の治らないキズ」は、キズの治療だけではなく、治らない原因に対する治療も並行して行っていかなければ治すことはできません。治らない原因についてはさまざまなものがありますが、代表的な3つについて紹介します。

動脈性

閉塞性動脈硬化症といわれ、虚血が原因となり、キズが治らない状態になっているものです。当院では血行再建に対して、心臓血管外科によるバイパス術と内科による血管内治療を選択することができ、それぞれの患者さんに最も適した血行再建方法を行っております。

 

静脈性

静脈の流れが悪くなり、静脈うっ滞が原因となり、キズが治らない状態になっているものです。静脈うっ滞に対しては、弾性包帯や弾性ストッキングでうっ滞を改善させながら、キズの治療を行います。また、静脈瘤が原因となっている場合には、静脈瘤の治療を行います。

その他(内分泌疾患など)

動脈性・静脈性以外の原因としては、糖尿病による神経障害が原因となっている場合が多く、当院では糖尿病専門医と協力し、血糖コントロールを行いながら治療を行っています。


口唇裂・口蓋裂治療チーム

傷を治すだけでなく、健やかな成長をサポートする

~私たちは、最善の口唇裂・口蓋裂治療を目指しています~

 妊娠・出産されたお子さんに口唇裂・口蓋裂が認められた時、ご両親やご家族のショックや不安は大変大きなものと考えます。
 しかし、適切な医療介入があれば、健常な子供たちと同じように成長していくことができます。形成外科は、出生時から青年期にわたり、関連する各部署と連携して総合的な治療を行います。
 子供たちの健やかな成長をしっかりとサポートできるように、全力で取り組んでまいります

これまでの実績

2014年度から口唇裂・口蓋裂の治療を行い、確実に着実に実績を伸ばしてきました。

唇顎口蓋裂関連の手術数

口唇裂・口蓋裂治療チーム メンバーから

森沢 猛    小児科 科部長(兼)周産母子センター 副センター長

 口唇裂・口蓋裂の赤ちゃんが入院された時には、形成外科や歯科口腔外科と連携し、退院に向けて栄養方法の確立を行い、スムーズな治療につなげます。退院後も、患者さんの成長と健やかな発達を外来にてフォローしてまいります。

橘 進彰    歯科口腔外科 主任科部長(兼)口腔管理室長

 口唇裂・口蓋裂の治療はチーム医療で行われています。その中で歯科口腔外科では生後間もない時期において母乳の哺乳する手助けのためにホッツ床を作製し、学童・青年期には歯列矯正や顎変形症治療でかみ合わせの調整を行います。

福岡 裕樹   歯科口腔外科 医師

 口唇裂・口蓋裂をはじめとする生まれつきの疾患が原因と考えられる不正咬合の治療を歯科口腔外科、小児科、形成外科と連携をとりながら行っています。骨格的な不調和に対する外科的矯正治療への対応も可能です。なお、ほとんどの場合これらの疾患による不正咬合への歯科矯正治療は保険診療の適応となります。詳しくは担当医へご相談ください。

安井 理絵   耳鼻咽喉科 主任科部長

 耳と鼻をつなぐ耳管の機能が不十分で耳の換気が悪くなりやすく、その結果鼓膜が内側にへこんで水がたまる滲出性中耳炎を起こして聞こえが悪くなります。耳鼻咽喉科では鼓膜と聴力の評価と鼓膜チューブ挿入の手術を担当します。

岡田 由美子  臨床心理士

 わが子に予想外のことがおこると、家族の不安は大きくなります。臨床心理士は、家族の混乱した気持ちをそのまま認め、そのご家族のペースを大事にします。また、子どもの治療経過にも同行して心理面から支援をします。

黒田 伸治   言語聴覚士

 言語聴覚療法では、口唇裂・口蓋裂のお子さんの哺乳やことばの支援を担当しています。形成外科等と連携しながら、ことばの発達の促進とことばの障害の訓練を行っていきます。

上谷 佐智子   GCU病棟 師長

 GCU病棟の看護師は、口唇裂・口蓋裂のある赤ちゃんをお預かりし全身状態の観察、哺乳の練習等を行っています。哺乳に関しては、言語聴覚士と相談しながら赤ちゃんに合った方法を考えていきます。また、直接授乳に関しても練習を行っています。ご家族の不安が少しでも軽減できるように一緒に考えていきたいと思っています。


口蓋裂治療について

はじめに

 出産されたお子様に口唇・口蓋裂が発症していた時、初めて目にしたご両親やご家族の驚きは大変なものであったと思います。お子様が「周囲の子供たちと同じように成長していけるのか」など漠然とした今後への不安もとても大きなものであったとお察しいたします。しかし、近年口唇・口蓋裂治療は他の病気の治療と同様に目覚ましい進歩を遂げており、過去に困難と思われた症状でも、治療が可能となってきています。 当院では口唇・口蓋裂のお子様の健やかな成長、発育および、より良い包括的な口唇・口蓋裂治療を目指して頭蓋、顎、顔面領域を専門とする医師、歯科医師を中心とした多職種によるチーム医療を「口唇裂・口蓋裂治療チーム」として実践しています。

 

口唇裂・口蓋裂治療チームの実績

 加古川中央市民病院 口唇裂・口蓋裂治療チームは2014年から発足しました。受診患者数は年々増加し、これまで85人の方が受診されました。口唇裂、口蓋裂に関する手術も2020年は22件施行しました。
 当院は東播磨地区の基幹病院ですが、近年、新規に受診された口唇・口蓋裂患者様のなかには遠方(中、西播磨地区、丹波地区、但馬地区、淡路島、大阪府等)から受診される方もいらっしゃいます。

 

当院の特徴

 当院での口唇・口蓋裂治療の最大の特徴は「一つの医療機関で出生直後からほぼすべての処置を完結できる」ことです。このような施設は全国的に見ても極めて少数です。
 後述するように口唇・口蓋裂は出生時から様々な問題が生じる可能性があり、その内容も哺乳・摂食、発音、審美等多岐に渡るため、出生後から様々な職種が専門的に介入することがより良い治療結果につながります。また、口唇・口蓋裂の治療は長期に及ぶため単一施設で専門性の高い治療を受けることは、治療結果に加え患者様の時間的・経済的負担の軽減の軽減につながると思われます。
 当院では主に形成外科医、小児科医、耳鼻科医、矯正歯科医、言語聴覚士が発音、摂食、整容、発達等についてフォローアップを行い、緻密な連携のもと必要な検査や処置をしています。将来的な成人期の咬合異常や顔貌の改善に対する手術などの総合的な診療にも対応しており、安心できる口唇裂、口蓋裂治療を提供いたします。

 

口唇・口蓋裂とは?

 口唇・口蓋裂は生まれながらに唇、口蓋(上顎の真ん中の固い部分)に裂隙が生じるものです。500人から600人に1人の割合で起こり、これは体表に現れる異常としては最も多いと言われています。「裂」という言葉の響きから「くっついていたものが引き裂かれた」というイメージがあるかもしれませんが、実際は「くっつくべきものがくっつかなかった」ために生じるものです。
 生まれ持っての病気のため、遺伝子の異常が原因と思われるかもしれません。もちろん遺伝子が原因の場合もありますが、口唇・口蓋裂の70%以上は原因不明といわれています。

 

口唇・口蓋裂の患者さんが抱える問題

・ 口と鼻がつながっているため物を飲み込みにくくなります。そのため生まれたての赤ちゃんはミルクが上手に飲めないことがあります(哺乳障害)

・ 鼻と口を隔てる機能が不十分となり発音が不明瞭になることがあります(鼻咽腔閉鎖機能不全)

・ 耳管(口と耳をつなぐ管)の開閉を調節している筋肉の機能不全により滲出性中耳炎になり易いと言われています。

・ 出生後から上顎に複数回の手術が必要となり、その結果上顎の成長が抑制される傾向が生じ受け口(反対咬合)になったり、歯並びがでこぼこ(叢生)になったり咬み合わせが悪くなる(不正咬合)ことがあります(顎顔面発育障害)

・ 口唇裂の手術の痕や受け口になったときの顔貌など審美的、社会心理学的な問題が生じることがあります(社会心理的障害)

 

治療の流れ

 当院では、まず生後できるだけ早い時期に裂を閉鎖する装具を装着します。そのうえで体の成長や全身的な状況をみて生後3か月頃に口唇閉鎖術、1歳から1歳半頃に口蓋閉鎖術を行います。手術後はきれいな発語獲得のために言語聴覚士による訓練を行います。永久歯萌出後は身体的な成長の程度をみながら歯並び、かみ合わせの治療を開始します。

①術前顎矯正、哺乳指導

 出生時の全身状態にもよりますが、なるべく早い時期に口蓋床(Hotz床)を製作し、鼻と口を分離して哺乳をしやすくします。同時に裂隙を非外科的に狭くすることにより手術の難易度を減少させ、低侵襲的に手術を行えるような状況に近づけることを目指します。

 必要があれば口蓋床に鼻の形の修正を目的としたステントを加えた術前鼻歯槽矯正プレート(NAMプレート)を使用します。

 

②口唇裂の手術

 生後3か月を目安に口唇形成の手術を行います。入院期間は7日前後になります。手術後は鼻や口唇の形態はほぼ満足できるように回復しますが、裂の幅が広い場合などは一度の手術では形態が完成しない場合もあり、就学前や青年期に修正手術が必要となる場合があります。

③口蓋裂の手術

 1歳から1歳半頃に口蓋形成の手術を行います。入院期間は口唇形成の手術と同様に7日前後になります。当院では主に上顎の成長や言語発達に影響を与えにくいといわれているtwo-flap法とintravelarveloplasty法を組み合わせています。

 

④言語評価

 口蓋裂に対する言語治療は、主に発音の不明瞭さ(構音障害)に対して、ことばの専門家である言語聴覚士がご本人及びご家族に指導、助言、訓練を行います。口蓋裂による構音障害には、鼻からの息漏れ(鼻咽腔閉鎖機能不全)による構音障害、発達途上の誤りによる構音障害、代償によって学習した発音(異常構音)による構音障害があります。それらを鑑別した上で適切な時期に訓練を行う必要があります。構音訓練は言語発達も大きく関与するため、4歳前後からの開始することが多いです。その際はPLPという発音を助ける装置を使用することもあります。また、構音には言語発達だけでなく全体的な発達や聴力も影響するため、それらに問題がないかも確認していきます。

⑤顎裂部の手術

 上顎の歯が生える所にある裂を顎裂と言います。歯は骨のないところには生えてくることはできず、また動かすこともできません。そのため、顎裂部の歯の生える時期や歯を動かすタイミングに合わせて顎裂部に骨を移植する手術を行います。概ね7歳から10歳の間に行い、骨は腸骨という骨盤の骨から採取することが多いです。また歯の移動だけでなく鼻と口の間に残存した隙間(口腔鼻腔瘻)の閉鎖や鼻の付け根の凹みや鼻の形の改善も図ります。

⑥歯科矯正治療

 矯正歯科が本格的に治療に介入するのは主に永久歯が生え始める6歳前後になることが多いです。それまでの間は虫歯予防や歯みがきの練習をしながら永久歯が生えるのを待ちます。この時期から部分的な歯科矯正治療や顎の骨の成長コントロールを始めます。永久歯への生え変わりが完了し、身体的な成長が落ち着いたら一般的な矯正装置(マルチブラケット装置)を使って最終的な歯科矯正治療を開始します。この治療でほとんどの場合見た目にも美しく、十分に機能する咬み合わせの獲得が達成されます。

 しかし上顎に対し下顎が過度に成長することがあり、この場合は18歳くらいを目途に手術の併用を前提とした矯正治療(外科的矯正治療)を適応します。詳しくは顎変形症の治療のページをご参照ください。

 また、生まれつき歯が足りない場合はインプラントやかぶせ物の治療が必要となる場合もあります。なお、口蓋裂患者様の歯科矯正治療や顎裂部へのインプラント治療は保険適応となります。

 

 このように出生直後から学童期~青年期にかけて、全身的な管理、数回の手術、中耳炎への治療、言語治療、歯並びの治療を総合的に行うことによって口唇・口蓋裂のお子様も周囲の方と変わりなく成長していくことができます。当院の医療スタッフはお子様の健やかな成長、発育に少しでもお力になれるよう精一杯取り組んでいます。

 

口蓋裂治療にお悩みをお持ちの方、過去に口蓋裂の治療を終えた方へ

 口唇・口蓋裂の病態は個々人により千差万別で、その治療についても明確に定まった方針がありません。つまり同じ症状の方がいらしてもその治療の方針は医療者の数だけあるということになります。

 また過去に口唇・口蓋裂の治療を終了した方の中には十分な治療を受けることができなかった、あるいは治療自体が受けられず、何らかの不具合が残存している方も少なからずいらっしゃいます。このような場合でも処置を受けて頂くことにより症状が改善するか場合もあります。

 口蓋裂治療についてお悩みや相談したいことがある患者様は是非当院を受診ください。加古川中央市民病院» 口唇裂・口蓋裂治療チームの主な窓口は» 形成外科» 歯科口腔外科になります。


顎変形症治療について

顎変形症とは

 顎変形症とは上あごまたは下あご、あるいはその両方の大きさや形、位置などの異常によって顔の輪郭の変形とかみ合わせの異常を起こす病気です。 この病気を治療するには歯科矯正治療に加えあごの骨を切る手術(外科的矯正治療)を併用する必要があります。

 

顎変形症の原因

 原因ははっきりとは証明されていませんが、出生時あるいは幼少期に存在した顔面の変形が成長発育に伴ってより目立つようになり、成人になってかみ合わせの改善の必要を感じるようになる方が多く見受けられます。このような患者さんには家族や親類の方にも受け口(下顎前突)や出っ歯(上顎前突)の方がいらっしゃることもあり遺伝的要因の関与も疑われています。あごの骨やあごの関節の発育・形態異常、あごへの外傷、内分泌異常なども原因の一つと言われています。

 また、生まれ持った疾患(病気)が原因で生じることもあり、このような場合にも治療の対象となります。

 

治療の目的、流れ

 顎変形症治療の目的はかみ合わせの改善です。外見的な美しさ(美容)を目的として行われる美容外科的な治療とはこの点で大きく異なりますが、結果として外見的なバランスも改善されます。

 一般的には手術前に歯科矯正治療を行います。手術の後にも歯科矯正治療を継続し、全体として概ね3年くらいの治療期間が必要となることが多いです。

 近年、治療開始後早期に外科的矯正治療を行う場合(surgery first)もあります。なお、顎変形症の治療は歯科矯正治療、手術も含め保険適用となります。

 

 

1.検査

 規格化された頭のレントゲン、あごだけのレントゲンなど必要に応じたレントゲン撮影、模型制作、顔面・口腔内写真撮影、あごの動きの検査等を行います。通常検査には2回程来院していただきます。

 

 

2.診断

 検査で得た資料をもとに分析を進め、分析結果から骨の問題が大きいと判断された場合に顎変形症と診断されます。

 

3.術前矯正治療

 顎変形症の治療はすぐに手術を行うわけではありません。ほとんどの場合、手術後にしっかりと咬み合う歯並びを歯科矯正治療で構成してから手術を行います。このとき抜歯が必要となる場合もあります。 術前矯正の期間は約2年程度です(治療の難易度や歯の動くスピードによって前後します)。

 また、一時的に初めの状態より咬み合わせが悪くなっているようにみえることがありますが、これは手術後にしっかり咬み合うように調節しているためです。

 

 

4.手術

 手術は下あごのみ、上あごのみ、上下のあご両方など様々なバリエーションがあります。また骨の切り方も千差万別です。実際にどのような手術を行うかは口腔外科、形成外科とのカンファレンスによって決定します。口から食事ができるようになるまで入院していただきますので、10日前後の入院が必要となります。

 なお、当院ではほとんどの症例で顎間固定(上下顎をワイヤーで固定すること)は行っておりません。

 

 また、当院では神戸大学歯科口腔外科と積極的に連携を取りながら治療を行っています。そのためご希望や居住地等による利便性により神戸大学で手術を受けて頂くことも可能です。

 

5.術後矯正治療

 手術後、口が開くようになったら細部の調整を行います。期間は約半年から1年位と比較的長い期間かかりますが、これは矯正装置がギブスのような役割を担う意味もあるためです。

 術後矯正治療が終了したら保定装置を使用していただき経過観察に移行していきます。

 

 


リンパ浮腫外来【看護外来】

リンパ浮腫外来のご案内

腕や足などのむくみでお困りの方の悩みが少しでも和らぐようお手伝いさせていただきます。
医師の診察、検査等を受けていただいた後に、適応が判断され、指示により開始となります。リンパ浮腫についての説明、セルフケア(マッサージ、圧迫療法、スキンケア、運動療法など)の指導、測定、弾性着衣や弾性包帯の選択についての紹介などをさせて頂きます。
※当外来ではマッサージは行っていません。

対象者

リンパ浮腫と診断された患者さん

外来日・時間

火曜日 13:30~17:00

1回 30分

予約制ですが、当日、空きがあれば受診できます。

受付

2階 11番受付

料金

看護外来については料金不要です。(弾性包帯・弾性着衣など別途費用必要)

※同日に医師の診察、検査等を受けた場合には、別途料金がかかります。

ケア内容

セルフケアの指導(弾性着衣などの圧迫療法・マッサージ・スキンケア・運動療法)を中心に行っています。

担当者

リンパ浮腫ケアの資格を持つ看護師が担当します。

予約の取り方について

形成外科の診察を受けて頂き、形成外科担当医がリンパ浮腫外来の予約を取ります。
・当院通院中の患者さんは主治医にご相談ください。
・他院通院中の患者さんは、かかりつけ医に相談後、当院形成外科の予約をお取りください。
受診時に形成外科担当医にご相談ください。


 




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