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歯科口腔外科


診療科の特徴

 東播磨地域における口腔外科疾患を専門に受け持つ2次医療機関です。地域歯科医師会の先生方と緊密な連携を行い、かかりつけ歯科では対応困難な顎口腔領域の疾患に対して紹介を頂き診断・治療を行っております。従いまして一般的な歯科治療は行っておらず、かかりつけ歯科医院でお願いをしております。

 

 当科で扱う疾患としては、埋伏している親知らずの抜歯、あごの骨折、口腔癌、虫歯や歯周病からの感染による重症歯性感染症、あごの中にできる膿の袋や良性腫瘍、基礎疾患(例えば心疾患、脳梗塞などにより血が止まりにくくする薬を内服している。)を持つ患者さんの有病者歯科医療などです。

 地域における連携としては、加古川歯科保健センターの後方支援病院として、障がい児(者)歯科治療に参画をしております。センターでの治療が困難な方には、全身麻酔下での治療を行っております。

 

 平成24年度に導入された周術期口腔機能管理につきましては、心臓血管外科・癌の手術前後、放射線・抗がん剤治療を行う際に、術前に口腔ケアや感染源となる歯の抜歯などを行うことによる、医科主治医との連携のもと治療リスクの軽減に努めております。

 

 今後も地域の歯科医師会、医師会の先生方との連携のもと、全身状態の把握を行い、安心安全な治療を行うとともに、地域の先生方への橋渡し役として、頑張ってまいります。


診療可能疾患

顎骨良性腫瘍

歯性感染症

嚢胞(膿の袋)

口腔癌

顎顔面外傷・顎骨骨折

顎変形症

顎関節疾患

口腔粘膜疾患

唾液腺疾患

有病者歯科医療

口唇裂・口蓋裂


診療実績

疾患別入院患者数

年  度 2020
歯・歯槽手術(埋伏歯抜歯など) 200(200)
インプラント関連 0
炎症(消炎点滴治療・手術、骨髄炎等) 34(16)
良性腫瘍・嚢胞(顎骨嚢胞・腫瘍含む) 220(220)
唾液腺・上顎洞手術 2(2)
外傷 13(9)
顎変形症・顎関節 2(2)
悪性腫瘍 4(4)
有病者・障害者 254(5)
その他 2
731(458)

※ ( )内は全麻症例


スタッフ紹介

橘 進彰(たちばな あきら)

役職歯科口腔外科 主任科部長
(兼)口腔管理室長
専門分野歯科口腔外科一般
学会専門医・認定医日本口腔外科学会専門医・指導医
日本口腔科学会認定医
日本障害者歯科学会認定医・指導医
日本顎顔面インプラント学会指導医
日本有病者歯科医療学会認定医・専門医
日本がん治療認定医機構認定医(歯科口腔外科)
日本がん治療認定医機構暫定教育医(歯科口腔外科)
日本口腔感染症学会理事
兵庫県病院歯科医会会長
厚生労働省認定歯科臨床研修指導医
医学博士

福岡 裕樹(ふくおか ひろき)

役職歯科口腔外科 科副部長
専門分野矯正歯科
口蓋裂をはじめとした先天性疾患
顎変形症
学会専門医・認定医日本矯正歯科学会認定医
歯学博士

髙田 直樹(たかた なおき)

役職歯科口腔外科 医長
専門分野歯科口腔外科一般
学会専門医・認定医日本口腔外科学会専門医
日本口腔科学会認定医
日本がん治療認定医機構がん治療認定医(歯科口腔外科)
厚生労働省認定歯科臨床研修指導医
医学博士

榎本 由依(えのもと ゆい)

役職歯科口腔外科 医長
専門分野歯科口腔外科一般
学会専門医・認定医日本口腔外科学会専門医
日本レーザー歯学会専門医
日本口腔外科学会認定医
日本口腔科学会認定医
医学博士

船原 隆一郎(ふなはら りゅういちろう)

役職歯科口腔外科 医師
専門分野歯科口腔外科一般
口腔外科学
学会専門医・認定医日本口腔科学会認定医

薄田 友理子(すすきだ ゆりこ)

役職歯科口腔外科 医師
専門分野歯科口腔外科一般
学会専門医・認定医

松下 慎太郎(まつした しんたろう)

役職歯科口腔外科 医師
専門分野歯科口腔外科一般
学会専門医・認定医

外来担当医表

外来診療日程につきましては、下記をご参照ください。


地域医療機関の先生方へ

 歯科口腔外科は、口腔顎顔面領域に生じる疾患の診断と治療、予防のみならず全身のQOLに大きく影響する臓器としての機能と整容の回復と維持に取り組む診療科です。

 歯科口腔外科では,口腔外科疾患への対応だけでなく、医科疾患治療への診療支援としての周術期等口腔機能管理や骨吸収抑制薬投与時に生じる顎骨壊死などへの治療などを行っています。医科歯科連携の重要性、緊密性がより増してきていると考えられます。今後とも医科歯科に限らず、先生方との連携をとりながら、疾患治療に携わってまいります。

 また矯正歯科医が加わり、口唇・口蓋裂などの先天性疾患が原因による不正咬合の治療について小児科、形成外科と連携をとり治療が開始となりました。


矯正歯科専門外来

保険歯科矯正外来

 加古川中央市民病院歯科口腔外科では専門外来として「保険歯科矯正外来」を開設しています。東播磨地域をはじめとした兵庫県西部周辺地域の口唇・口蓋裂をはじめとした先天性疾患や顎変形症に起因する不正咬合や咀嚼障害、構音障害等、顎口腔機能のトラブルを持った患者さんの診療のお役に立ちたいと考えています。

 

 先天性疾患をもつ患者さんは歯科矯正治療のみならず全身的な問題に対する治療も出生直後から長期にわたることがあり、本人だけでなくご家族にも時間的・経済的負担がかかってしまう場合があります。当院ではより多くの患者さんとご家族の負担を軽減できるように「指定自立支援医療機関(育成医療、更正医療)」および「歯科矯正診断料」「顎口腔機能診断料」算定の施設認定を受け矯正歯科治療に保険適用できる診療体制を整えています。

 現在、厚生労働省が定める59疾患に対する歯科矯正治療が保険適応と認められています。詳しくは下記PDFをご参照ください。

 顎顔面外傷受傷後や顎関節疾患による咬合不全も治療対象となる場合がございますので、お困りのことがある際は気軽にご相談ください。

 

加古川中央市民病院 保険矯正歯科外来受診者数

 

当院を受診した矯正歯科治療が保険適応となる先天性疾患(疑い含む)

 

口唇口蓋裂
ゴールデンハー症候群
鎖骨頭蓋異型性症
トリーチャーコリンズ症候群
13 トリソミー
21 トリソミー(ダウン症候群)
ピエール・ロバン症候群
全前脳胞症
色素失調症
外胚葉異形成症
ウィリアムス症候群
Von der woude症候群
4p症候群


口蓋裂・顎変形症 矯正歯科外来

 加古川中央市民病院歯科口腔外科では「口蓋裂・顎変形症 矯正歯科外来」を開設しています。

 東播磨地域をはじめとした兵庫県西部周辺地域の主に顎変形症に起因する不正咬合や咀嚼障害、顎口腔機能のトラブルを持った患者さんの診療のお役に立ちたいと考えています。

 また、口蓋裂をはじめとする先天性疾患患者さんへの歯科矯正治療へも対応しています。

 私たちはより多くの患者さんとご家族の負担を軽減できるように「指定自立支援医療機関(育成医療、更正医療)」、および「歯科矯正診断料」「顎口腔機能診断料」算定の施設認定を受け矯正歯科治療に保険適用できる診療体制を整えています。

 現在、厚生労働省が定める59疾患に対する歯科矯正治療が保険適応と認められています。詳しくは下記PDFをご参照ください。

 

 顎顔面外傷受傷後や顎関節疾患による咬合不全も治療対象となる場合がございますので、お困りのことがある際は気軽にご相談ください。

加古川中央市民病院 口蓋裂・顎変形症 矯正歯科外来新患数

 

特色

 当外来は、兵庫県下で初の「口腔外科」「矯正歯科」「形成外科」が連携しチームアプローチを行う「口蓋裂をはじめとした先天性疾患、顎変形症に由来する不正咬合治療の専門外来」として開設しました。更に、先天歯、歯の形態異常、歯数の異常、上下顎骨形態異常、舌、小帯など口腔周囲軟組織異常など口腔内の異常所見全般に対して受け入れをおこなっています。
 加古川中央市民病院では2014年より兵庫県下で唯一の「口唇裂・口蓋裂治療チーム」として「形成外科」「小児科」「耳鼻咽喉科」「矯正歯科」「口腔外科」「リハビリテーション室」「看護部」が連携し口唇裂・口蓋裂患者さんの総合的な治療を出生時より行っています。出生直後のHotz床やNAMなどの術前顎矯正治療から始まり、発語が開始する時期には言語聴覚士による構音評価を経て必要に応じPLPを制作し言語治療の補助を行います。その後は永久歯の萌出状況を確認しながら適切な時期に歯科矯正治療を開始します。もちろん全治療期間に渡り、口腔衛生管理や口腔筋機能療法を行い健全な口腔内環境や口腔機能の獲得を目指していきます。
 明らかに骨格的な要素の強い不正咬合に対しては術前矯正治療から外科的矯正治療(あごの骨の手術)、術後矯正治療、保定まで一貫した治療を行います。矯正歯科専門医の先生方からの骨切り術のみのご依頼にも対応いたします。いわゆる外科的矯正治療適応のボーダー症例に対しては外科的矯正治療(あごの骨の手術)を適応した場合、適応しなかった場合それぞれについての長所、短所についてご説明し患者さんご本人およびご家族の意思を尊重した治療方針を立てるよう努めています。上顎骨あるいは下顎骨単独の骨切り術と上下顎骨骨切り術を併用する場合では治療結果が異なりますのでこの点についてもしっかりとインフォームドコンセントを行います。
 下顎骨形態に問題がある睡眠時無呼吸症に対しては歯科矯正治療に用いる矯正装置の技術を生かしたOral Applianceによる治療を行い、適応がある場合にはMaxillo-Mandiblar Advancementを施行する場合もあります。
 顎顔面外傷受傷後や顎関節疾患による咬合不全も顎変形症として治療対象となる場合がございますので、お困りのことがある際は気軽にご相談ください。

 当外来では、一度治療の終了した成人の口蓋裂患者さんの再治療のご相談も積極的に応じています近年、特に口蓋裂患者さんに対する歯科矯正治療は大きな発想の転換がありました。以前は上顎の歯列の幅を拡大することにより歯の重なり具合(被蓋)を改善していきましたが、この場合裂隙の幅が広くなり、ほとんどの場合最終的には健全な歯を削りかぶせ物による治療(補綴治療)が必要となりました。最近は上顎の拡大は必要最小限にとどめ、必要があれば最終的には外科的矯正治療(あごの骨の手術)を適応し、なるべくかぶせ物の治療(補綴治療)の必要性を最小限に留めるようになってきました。このように治療方針に大きな変化が生じているため、過去口蓋裂の治療が終了した成人の患者さんでも再治療により良い治療結果が得られる可能性があります。

 

 また、当院では神戸大学歯科口腔外科と積極的に連携を取りながら治療を行っています。そのためご希望や居住地等による利便性により神戸大学で手術を受けて頂くことも可能です。

 

診療分野

 ・口唇裂・口蓋裂をはじめとした先天性疾患に起因する不正咬合

 ・顎変形症

 ・顎顔面外傷受傷後の咬合不全

 ・顎関節疾患に起因する咬合不全

 ・睡眠時無呼吸症に対するOral Appliance制作、外科的矯正治療 など

 ・歯科矯正治療一般およびセカンドオピニオン

 

診療体制

 現在月曜日、木曜日の午前に初診・再診外来を設けています。外来への予定的な御紹介は地域医療連携室を通していただけますようお願いいたします。Hotz床制作など緊急的な診察が必要な場合やご家族のご予定が合わない、ご不明な点がある等の場合は歯科口腔外科までお電話にてご相談ください。

 


口蓋裂治療について

はじめに

 出産されたお子様に口唇・口蓋裂が発症していた時、初めて目にしたご両親やご家族の驚きは大変なものであったと思います。お子様が「周囲の子供たちと同じように成長していけるのか」など漠然とした今後への不安もとても大きなものであったとお察しいたします。しかし、近年口唇・口蓋裂治療は他の病気の治療と同様に目覚ましい進歩を遂げており、過去に困難と思われた症状でも、治療が可能となってきています。 当院では口唇・口蓋裂のお子様の健やかな成長、発育および、より良い包括的な口唇・口蓋裂治療を目指して頭蓋、顎、顔面領域を専門とする医師、歯科医師を中心とした多職種によるチーム医療を「口唇裂・口蓋裂治療チーム」として実践しています。

 

口唇裂・口蓋裂治療チームの実績

 加古川中央市民病院 口唇裂・口蓋裂治療チームは2014年から発足しました。受診患者数は年々増加し、これまで85人の方が受診されました。口唇裂、口蓋裂に関する手術も2020年は22件施行しました。
 当院は東播磨地区の基幹病院ですが、近年、新規に受診された口唇・口蓋裂患者様のなかには遠方(中、西播磨地区、丹波地区、但馬地区、淡路島、大阪府等)から受診される方もいらっしゃいます。

 

当院の特徴

 当院での口唇・口蓋裂治療の最大の特徴は「一つの医療機関で出生直後からほぼすべての処置を完結できる」ことです。このような施設は全国的に見ても極めて少数です。
 後述するように口唇・口蓋裂は出生時から様々な問題が生じる可能性があり、その内容も哺乳・摂食、発音、審美等多岐に渡るため、出生後から様々な職種が専門的に介入することがより良い治療結果につながります。また、口唇・口蓋裂の治療は長期に及ぶため単一施設で専門性の高い治療を受けることは、治療結果に加え患者様の時間的・経済的負担の軽減の軽減につながると思われます。
 当院では主に形成外科医、小児科医、耳鼻科医、矯正歯科医、言語聴覚士が発音、摂食、整容、発達等についてフォローアップを行い、緻密な連携のもと必要な検査や処置をしています。将来的な成人期の咬合異常や顔貌の改善に対する手術などの総合的な診療にも対応しており、安心できる口唇裂、口蓋裂治療を提供いたします。

 

口唇・口蓋裂とは?

 口唇・口蓋裂は生まれながらに唇、口蓋(上顎の真ん中の固い部分)に裂隙が生じるものです。500人から600人に1人の割合で起こり、これは体表に現れる異常としては最も多いと言われています。「裂」という言葉の響きから「くっついていたものが引き裂かれた」というイメージがあるかもしれませんが、実際は「くっつくべきものがくっつかなかった」ために生じるものです。
 生まれ持っての病気のため、遺伝子の異常が原因と思われるかもしれません。もちろん遺伝子が原因の場合もありますが、口唇・口蓋裂の70%以上は原因不明といわれています。

 

口唇・口蓋裂の患者さんが抱える問題

・ 口と鼻がつながっているため物を飲み込みにくくなります。そのため生まれたての赤ちゃんはミルクが上手に飲めないことがあります(哺乳障害)

・ 鼻と口を隔てる機能が不十分となり発音が不明瞭になることがあります(鼻咽腔閉鎖機能不全)

・ 耳管(口と耳をつなぐ管)の開閉を調節している筋肉の機能不全により滲出性中耳炎になり易いと言われています。

・ 出生後から上顎に複数回の手術が必要となり、その結果上顎の成長が抑制される傾向が生じ受け口(反対咬合)になったり、歯並びがでこぼこ(叢生)になったり咬み合わせが悪くなる(不正咬合)ことがあります(顎顔面発育障害)

・ 口唇裂の手術の痕や受け口になったときの顔貌など審美的、社会心理学的な問題が生じることがあります(社会心理的障害)

 

治療の流れ

 当院では、まず生後できるだけ早い時期に裂を閉鎖する装具を装着します。そのうえで体の成長や全身的な状況をみて生後3か月頃に口唇閉鎖術、1歳から1歳半頃に口蓋閉鎖術を行います。手術後はきれいな発語獲得のために言語聴覚士による訓練を行います。永久歯萌出後は身体的な成長の程度をみながら歯並び、かみ合わせの治療を開始します。

①術前顎矯正、哺乳指導

 出生時の全身状態にもよりますが、なるべく早い時期に口蓋床(Hotz床)を製作し、鼻と口を分離して哺乳をしやすくします。同時に裂隙を非外科的に狭くすることにより手術の難易度を減少させ、低侵襲的に手術を行えるような状況に近づけることを目指します。

 必要があれば口蓋床に鼻の形の修正を目的としたステントを加えた術前鼻歯槽矯正プレート(NAMプレート)を使用します。

 

②口唇裂の手術

 生後3か月を目安に口唇形成の手術を行います。入院期間は7日前後になります。手術後は鼻や口唇の形態はほぼ満足できるように回復しますが、裂の幅が広い場合などは一度の手術では形態が完成しない場合もあり、就学前や青年期に修正手術が必要となる場合があります。

③口蓋裂の手術

 1歳から1歳半頃に口蓋形成の手術を行います。入院期間は口唇形成の手術と同様に7日前後になります。当院では主に上顎の成長や言語発達に影響を与えにくいといわれているtwo-flap法とintravelarveloplasty法を組み合わせています。

 

④言語評価

 口蓋裂に対する言語治療は、主に発音の不明瞭さ(構音障害)に対して、ことばの専門家である言語聴覚士がご本人及びご家族に指導、助言、訓練を行います。口蓋裂による構音障害には、鼻からの息漏れ(鼻咽腔閉鎖機能不全)による構音障害、発達途上の誤りによる構音障害、代償によって学習した発音(異常構音)による構音障害があります。それらを鑑別した上で適切な時期に訓練を行う必要があります。構音訓練は言語発達も大きく関与するため、4歳前後からの開始することが多いです。その際はPLPという発音を助ける装置を使用することもあります。また、構音には言語発達だけでなく全体的な発達や聴力も影響するため、それらに問題がないかも確認していきます。

⑤顎裂部の手術

 上顎の歯が生える所にある裂を顎裂と言います。歯は骨のないところには生えてくることはできず、また動かすこともできません。そのため、顎裂部の歯の生える時期や歯を動かすタイミングに合わせて顎裂部に骨を移植する手術を行います。概ね7歳から10歳の間に行い、骨は腸骨という骨盤の骨から採取することが多いです。また歯の移動だけでなく鼻と口の間に残存した隙間(口腔鼻腔瘻)の閉鎖や鼻の付け根の凹みや鼻の形の改善も図ります。

⑥歯科矯正治療

 矯正歯科が本格的に治療に介入するのは主に永久歯が生え始める6歳前後になることが多いです。それまでの間は虫歯予防や歯みがきの練習をしながら永久歯が生えるのを待ちます。この時期から部分的な歯科矯正治療や顎の骨の成長コントロールを始めます。永久歯への生え変わりが完了し、身体的な成長が落ち着いたら一般的な矯正装置(マルチブラケット装置)を使って最終的な歯科矯正治療を開始します。この治療でほとんどの場合見た目にも美しく、十分に機能する咬み合わせの獲得が達成されます。

 しかし上顎に対し下顎が過度に成長することがあり、この場合は18歳くらいを目途に手術の併用を前提とした矯正治療(外科的矯正治療)を適応します。詳しくは顎変形症の治療のページをご参照ください。

 また、生まれつき歯が足りない場合はインプラントやかぶせ物の治療が必要となる場合もあります。なお、口蓋裂患者様の歯科矯正治療や顎裂部へのインプラント治療は保険適応となります。

 

 このように出生直後から学童期~青年期にかけて、全身的な管理、数回の手術、中耳炎への治療、言語治療、歯並びの治療を総合的に行うことによって口唇・口蓋裂のお子様も周囲の方と変わりなく成長していくことができます。当院の医療スタッフはお子様の健やかな成長、発育に少しでもお力になれるよう精一杯取り組んでいます。

 

口蓋裂治療にお悩みをお持ちの方、過去に口蓋裂の治療を終えた方へ

 口唇・口蓋裂の病態は個々人により千差万別で、その治療についても明確に定まった方針がありません。つまり同じ症状の方がいらしてもその治療の方針は医療者の数だけあるということになります。

 また過去に口唇・口蓋裂の治療を終了した方の中には十分な治療を受けることができなかった、あるいは治療自体が受けられず、何らかの不具合が残存している方も少なからずいらっしゃいます。このような場合でも処置を受けて頂くことにより症状が改善するか場合もあります。

 口蓋裂治療についてお悩みや相談したいことがある患者様は是非当院を受診ください。加古川中央市民病院» 口唇裂・口蓋裂治療チームの主な窓口は» 形成外科» 歯科口腔外科になります。


顎変形症治療について

顎変形症とは

 顎変形症とは上あごまたは下あご、あるいはその両方の大きさや形、位置などの異常によって顔の輪郭の変形とかみ合わせの異常を起こす病気です。 この病気を治療するには歯科矯正治療に加えあごの骨を切る手術(外科的矯正治療)を併用する必要があります。

 

顎変形症の原因

 原因ははっきりとは証明されていませんが、出生時あるいは幼少期に存在した顔面の変形が成長発育に伴ってより目立つようになり、成人になってかみ合わせの改善の必要を感じるようになる方が多く見受けられます。このような患者さんには家族や親類の方にも受け口(下顎前突)や出っ歯(上顎前突)の方がいらっしゃることもあり遺伝的要因の関与も疑われています。あごの骨やあごの関節の発育・形態異常、あごへの外傷、内分泌異常なども原因の一つと言われています。

 また、生まれ持った疾患(病気)が原因で生じることもあり、このような場合にも治療の対象となります。

 

治療の目的、流れ

 顎変形症治療の目的はかみ合わせの改善です。外見的な美しさ(美容)を目的として行われる美容外科的な治療とはこの点で大きく異なりますが、結果として外見的なバランスも改善されます。

 一般的には手術前に歯科矯正治療を行います。手術の後にも歯科矯正治療を継続し、全体として概ね3年くらいの治療期間が必要となることが多いです。

 近年、治療開始後早期に外科的矯正治療を行う場合(surgery first)もあります。なお、顎変形症の治療は歯科矯正治療、手術も含め保険適用となります。

 

 

1.検査

 規格化された頭のレントゲン、あごだけのレントゲンなど必要に応じたレントゲン撮影、模型制作、顔面・口腔内写真撮影、あごの動きの検査等を行います。通常検査には2回程来院していただきます。

 

 

2.診断

 検査で得た資料をもとに分析を進め、分析結果から骨の問題が大きいと判断された場合に顎変形症と診断されます。

 

3.術前矯正治療

 顎変形症の治療はすぐに手術を行うわけではありません。ほとんどの場合、手術後にしっかりと咬み合う歯並びを歯科矯正治療で構成してから手術を行います。このとき抜歯が必要となる場合もあります。 術前矯正の期間は約2年程度です(治療の難易度や歯の動くスピードによって前後します)。

 また、一時的に初めの状態より咬み合わせが悪くなっているようにみえることがありますが、これは手術後にしっかり咬み合うように調節しているためです。

 

 

4.手術

 手術は下あごのみ、上あごのみ、上下のあご両方など様々なバリエーションがあります。また骨の切り方も千差万別です。実際にどのような手術を行うかは口腔外科、形成外科とのカンファレンスによって決定します。口から食事ができるようになるまで入院していただきますので、10日前後の入院が必要となります。

 なお、当院ではほとんどの症例で顎間固定(上下顎をワイヤーで固定すること)は行っておりません。

 

 また、当院では神戸大学歯科口腔外科と積極的に連携を取りながら治療を行っています。そのためご希望や居住地等による利便性により神戸大学で手術を受けて頂くことも可能です。

 

5.術後矯正治療

 手術後、口が開くようになったら細部の調整を行います。期間は約半年から1年位と比較的長い期間かかりますが、これは矯正装置がギブスのような役割を担う意味もあるためです。

 術後矯正治療が終了したら保定装置を使用していただき経過観察に移行していきます。

 

 




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