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先天性心疾患(せんてんせいしんしっかん) | 加古川中央市民病院
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先天性心疾患(せんてんせいしんしっかん)

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先天性心疾患について

生まれつき心臓や血管の形状が正常とは異なることで、心臓や血液の働きに障害が起きる病気のことです。およそ100人に1人の赤ちゃんが先天性心疾患をもって生まれます。

先天性疾患の種類は多岐にわたり、疾患によって重症度は人それぞれです。自然に治ってしまう軽症の方もいれば、複数回、手術を受けなければならない重症の方もいます。

先天性心疾患は大きく「チアノーゼ性心疾患」と「非チアノーゼ性心疾患」分類されます。「チアノーゼ性心疾患」は皮膚や粘膜が青紫色になるため、幼少期のうちにわかります。「非チアノーゼ性心疾患」は見た目にはわからず、小児期の健康診断や大人になってから心電図検査などで先天性心疾患があったと判明することがあります。

胎児の状態で超音波検査により発見できる場合もあります。早ければ受精後20週(5ヵ月)で、多くは7〜8か月後で胎児の心臓が成長した頃にエコーで診断します。

非チアノーゼ性心疾患

非チアノーゼ性心疾患には、代表的な病気として、心室中隔欠損症、心房中隔欠損症、房室中隔欠損症(心内膜床欠損症)、動脈管開存症の4つがあります。症状は、呼吸が速くなり苦しそうになり、発汗が多く、ミルクが飲めないため体重が増えないなどがあります。 多様な病型があるため、患者ごとに異なる治療が求められ、個別に適した外科治療が主に小児期に実施されます。

「心室」の左右を隔てる壁に穴があいている疾患です。

「心房」の左右を隔てる壁に穴があいている疾患です。

心房と心室を隔てる壁に穴があいている疾患です。

胎児期に開いている動脈管(大動脈と肺動脈間にある血管)が、出生後も自然閉鎖せずに開いた状態のままの疾患です。

治療方法

心室中隔欠損症

欠損孔の大きさにより、短絡する血液量が異なるため、重症度に差が生じます。最重症例では誕生後まもなく、欠損孔を当て布で塞ぐ早期手術(心室中隔欠損孔閉鎖術)が必要になります。

心房中隔欠損症

この二つの心房中隔の発生過程で生じた異常によって起こります。穴の位置によっていろいろな種類に分類されますが、最も多いタイプは二次孔開存型と呼ばれるもので、全体の70%を占めます。二次孔開存型の多くは、カテーテルを使用して血管(太ももの静脈)から穴をふさぐための栓を心臓内に運び、欠損部分をふさぐ治療が可能です。負担のかかる右心房は徐々に大きくなり(心肥大)、心臓全体を圧迫してしまう場合があり、成人になって症状が出てくることもあります。

房室中隔欠損症

外科手術は、胸骨正中切開アプローチで、人工心肺使用下に、2枚のパッチで心房中隔欠損と心室中隔欠損をそれぞれ閉鎖し、さらに房室弁形成術を合わせた心臓修復術を行います。体重が小さい(3kg未満)場合などは、心臓修復術の侵襲が大きいため、姑息手術として肺動脈絞扼術(バンディング)を先に行う場合もあります。これにより肺の血流を抑えて心不全をコントロールし、体重増加をまってから段階的に根治手術を行います。

チアノーゼ性心疾患

チアノーゼ性心疾患にはファロー四徴症、完全大血管転位症、三尖弁閉鎖症、肺動脈閉鎖症などがあり、新生児・乳児期に発見されることが多い病気です。症状は皮膚や粘膜が青紫色なる、呼吸困難、高度になるとけいれんを起こすこともあります。

 

心臓の形に4つの特徴がある病気(四徴)です。

  • 肺動脈狭窄:肺へ向かう動脈が狭くなっている
  • 心室中隔欠損:左右の心室を隔てる心室中隔に孔があいている
  • 大動脈騎乗:大動脈が左右の心室にまたがっている
  • 右心室肥大:右心室に負担がかかり壁が厚くなる

治療方法

ファロー四徴症

出生直後ファロー四徴症と診断された場合は投薬を開始し、その後、姑息手術または根治手術を実施します。姑息手術は、血流が不足する血管にシャント(人工血管を用いてバイパス手術のこと)手術をすることで、肺への血流を増加させてチアノーゼを改善させるとともに、肺動脈や心室の発育を促すことによって、その後心臓修復術を可能とするために行われます。心臓修復術は、心臓を一時停止させ、人工心肺装置を用いて心室中隔欠損の閉鎖と、肺動脈狭窄の治療を行います。

成人期に求められる医療

先天性心疾患を持つ患者の90%以上が成人期を迎えるようになりましたが、すべての症例が完全に治療されたわけではありません。手術後も残存する異常(遺残症)、修復したことで新たに生じる異常(続発症)、加齢とともに発生する合併症などがあり、成人期に再び問題を引き起こすことがあります。

さらに、先天性心疾患を持ちながら社会生活を送る必要があるため、就労や妊娠・出産に関する不安を抱える患者も多く、適切な評価やカウンセリングが不可欠です。特に重症の先天性心疾患患者では、若年期から終末期医療や緩和ケアが必要となる場合があり、社会生活の制約が精神的な問題を引き起こすこともあります。

当院は小児循環器内科と循環器科内科、心臓血管外科医師、看護師、コメディカルとの協力体制を整え、学会から成人先天性心疾患修練施設としての認定を受けました。主に循環器内科のセクションで先天性心疾患を持つ成人の患者さんが安心して日常生活を送れるよう、専門的なサポートを提供しています。

成人先天性心疾患外来でお話する内容

疾患について・自分の疾患名について、どの程度ご存じか
・図を用いて形態や血液の流れを説明
診療・検査結果
・現在の問題
見通し・今後の問題点
・遺残症、続発症、合併症
予防・生活
・感染性心内膜炎
ライフサポート・妊娠
・学校生活、職場生活(診断書交付)

スタッフ

循環器内科

専門分野

循環器疾患全般
成人先天性心疾患
心臓弁膜症

学会専門医・認定医

日本内科学会認定内科医
日本循環器学会認定循環器専門医
日本超音波医学会認定超音波専門医
医学博士

心臓血管外科

専門分野

心臓血管外科全般
先天性心疾患

学会専門医・認定医

日本外科学会外科専門医
心臓血管外科専門医認定機構心臓血管外科専門医
厚生労働省認定臨床研修指導医