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脂質異常症(ししついじょうしょう) | 加古川中央市民病院
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DISEASE

脂質異常症(ししついじょうしょう)

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脂質異常症について

脂質異常症は、血液中の脂質 (LDLコレステロール、HDLコレステロール、トリグリセライド)の値が基準値から外れた状態を指します。動脈硬化性疾患の発症のリスクとなり、虚血性心疾患 (狭心症や心筋梗塞)や脳卒中の原因となります。主に生活習慣病の一つであり、運動不足、カロリー過多、アルコール多飲、喫煙、肥満などが原因として考えられています。 また遺伝的にLDLコレステロールが高値を示す場合もあります。これを家族性高コレステロール血症といいます。日本にはおよそ300人に1人程度の割合で認められます。家族性高コレステロール血症の患者さんはそうでない人と比較すると、比較的若い年齢で狭心症や心筋梗塞を発症することが多いといわれていますので注意が必要です。

症状

初期は無症状で経過します。進行すると運動時の胸部圧迫感や息切れ、四肢の麻痺などが出現します。 また家族性高コレステロール血症の患者さんの場合には、皮膚や腱にコレステロールが沈着することによって黄色腫がみられることがあります。肘や膝関節、手首などでみられたり、アキレス腱が肥厚したりします。

検査

主に血液検査で診断します。健康診断や人間ドックなどで初めて指摘される方が多い疾患です。LDLコレステロール、HDLコレステロール、トリグリセライド、Non-HDLコレステロールの値を測定します。

血液検査

出典:動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版

  • *基本的に10時間以上の絶食を「空腹時」とする。ただし水やお茶などカロリーのない水分の摂取は可とする。空腹時であることが確認できない場合を「随時」とする。
  • **スクリーニングで境界域高LDL-C血症、境界域高non-HDL-C血症を示した場合は、高リスク病態がないか検討し、治療の必要性を考慮する。
  • LDL-CはFriedewald式(TC-HDL-C-TG/5)で計算する(ただし空腹時採血の場合のみ)。または直接法で求める。
  • TGが400mg/dL以上や随時採血の場合はnon-HDL-C(=TC-HDL-C)かLDL-C直接法を使用する。ただしスクリーニングでnon-HDL-Cを用いる時は、高TG血症を伴わない場合はLDL-Cとの差が+30mg/dLより小さくなる可能性を念頭においてリスクを評価する。
  • TGの基準値は空腹時採血と随時採血により異なる。
  • HDL-Cは単独では薬物介入の対象とはならない。

また、家族性高コレステロール血症の場合には、

  • 未治療時のLDLコレステロールが180mg/dL以上
  • 腱黄色腫あるいは皮膚結節性黄色腫
  • 家族性高コレステロール血症または早発性冠動脈疾患の家族歴

上記のうち2項目以上を満たすことで診断されます。

治療方法

生活習慣改善による治療

まずは治療の目標値の設定が行われます。性別や糖尿病の有無、喫煙の有無などにより、リスク別に分けられ、それによって目標値が異なります。もちろん動脈硬化性疾患のリスクが高い患者さんほど、より厳しい脂質管理目標値となります。

出典:動脈硬化ガイドライン2017 P.77 日本動脈硬化学会編p.71より

  • *糖尿病において、PAD、細小血管症(網膜症、腎症、神経障害)合併時、または喫煙ありの場合に考慮する。
  • **「急性冠症候群」、「家族性高コレステロール血症」、「糖尿病」、「冠動脈疾患とアテローム血栓性脳梗塞(明らかなアテロームを伴うその他の脳梗塞を含む)」の4病態のいずれかを合併する場合に考慮する。
  • 一次予防における管理目標達成の手段は非薬物療法が基本であるが、いずれの管理区分においてもLDL-Cが180mg/dL以上の場合は薬物治療を考慮する。家族性高コレステロール血症の可能性も念頭に置いておく。
  • まずLDL-Cの管理目標値を達成し、次にnon-HDL‐Cの達成を目指す。LDL-Cの管理目標を達成してもnon-HDL‐Cが高い場合は高TG血症を伴うことが多く、その管理が重要となる。低HDL‐Cについては基本的には生活習慣の改善で対処すべきである。
  • これらの値はあくまでも到達努力目標値であり、一次予防(低・中リスク)においてはLDL-C低下率20~30%も目標値としてなり得る。
  • ***10時間以上の絶食を「空腹時」とする。ただし水やお茶などのカロリーのない水分の摂取は可とする。それ以外の条件を「随時」とする。
  • ****頭蓋内外動脈の50%以上の狭窄、または弓部大動脈粥腫(最大4mm以上)

脂質異常症の治療の基本は、禁煙、食事療法、運動療法です。 過食に注意し、適正な体重を維持することが重要です。そのためにバランスの良い食事を心がけ、コレステロール摂取量を200mg/日未満に抑えることを目標とします。また、運動療法は有酸素運動を基本とし、ややきついと感じる運動を1日30分、週3回以上を目標として行います。

薬物治療

生活習慣の改善のみでは目標値に到達しない、もしくは早期に目標値まで到達する必要がある場合には薬物による治療が開始となります。 薬物は大きく内服薬と注射薬に分かれますが、多くの場合はまず内服薬が選択されます。より厳格な管理が必要と判断された場合には注射薬による治療も検討されます。治療効果判定として、血液検査でコレステロールの値を確認し、薬物量の調整が行われます。

スタッフ

専門分野

循環器疾患全般
動脈硬化疾患
生活習慣病

学会専門医・認定医

日本内科学会総合内科専門医
日本内科学会内科指導医
日本循環器学会認定循環器専門医
日本循環器学会 前代表理事
日本循環器学会 FJCS会員
日本動脈硬化学会動脈硬化専門医
日本腫瘍循環器学会 理事
医学博士

専門分野

循環器疾患全般 
循環器画像診断

学会専門医・認定医

日本内科学会総合内科専門医・指導医
日本循環器学会認定循環器専門医 
日本核医学会核医学専門医
欧州心臓病学会(ESC)心臓MRI認定試験合格
厚生労働省認定臨床研修指導医
医学博士