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自己心膜による大動脈弁再建手術
尾﨑手術
尾﨑手術とは
当院では2020年7月から大動脈弁に対する尾﨑手術を行っています。
尾﨑手術とは人工弁置換が必要な大動脈弁疾患に対して自己心膜で新たに弁を再建する方法です。古くから自己心膜による弁再建手術は行われてきましたが、その精度を高め再現可能な方法とそのための器具を東邦大学の尾﨑医師が開発・普及されてきました。
実際の尾﨑手術
心膜とは心臓を包んでいる袋状の膜のことです。この膜を8×7cm大で採取し、グルタールアルデヒド液で抗石灰化処理をして自分の大動脈弁をはずしたあとにその大きさに合わせたテンプレートで弁尖を切り出し自分の大動脈弁輪に縫い付けていきます。各弁尖の合わさる交連部を形成して完成です。






尾﨑手術は難易度が特別高い手術ではありませんが、セミナーで講義を受けた医師が手術を行っています。現在近畿地方においては、数少ない実施施設となっており大動脈弁疾患に対して人工弁手術、高齢者を対象にしたカテーテル人工弁手術など、色々な方法がありますので患者さん一人ひとりに合わせて最適な手術を選択します。
メリット
- 自分の組織である自己心膜を使用するのでより長持ちする可能性があります。
- 半年間のアスピリン内服以降は弁に対するお薬は不要です。
- 人工弁には弁を縫い付けるためのカフ(心臓に縫い付けるための布)がありますが、尾﨑手術では直接心膜を弁輪に縫い付けるので、より広い弁口面積が確保され弁尖の動きがよりスムーズになることが示されています。
デメリット
- 人工弁置換よりも、手術時間が長くなります。
- 尾﨑手術は東邦大学で2007年から始まった比較的新しい手術です。現在の再手術回避率は10年で95%と報告されていますが、それ以上のデータはまだありません。
参考文献
Ozaki, Kawase, Yamashita, et al. J Thorac Cardiovasc Surg 2018;155:2 3 7 9-2 3 8 7
Konstantinos, Mylonas, Panagiotis, et al. Am Heart J 2023;255:1-11
治療のプロセス
入院日から退院まで、およその流れ
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外来受診
現在までの症状をうかがい、手術が必要か判断します。手術が必要と判断した場合、他の手術法も含め実際の手術法について説明します。
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検査
基本的に外来で検査を行います。採血、心エコー、CT検査、呼吸機能検査など必要な精密検査を行い、全身状態を複数の医師を含めハートチームメンバーで評価させていただき耐術能など総合評価を行います。
治療に対するご本人・ご家族のご希望についてのお話もゆっくりと伺います。
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治療
最適な治療方針の決定をハートチームで行います。TAVI、外科的手術、保存的加療(薬物治療)のうちより適したものを判断し、治療に移行します。手術後は1~2週間程度で退院できます。
よくある質問
大動脈弁狭窄症、大動脈弁閉鎖不全症、感染性心内膜炎などが基本的な適応疾患となります。透析患者であっても全身状態に問題なければ対応できます
手術の1~2日前に入院していただき、術後は7~14日程で退院となります。
放射線治療後や心膜炎を起こしたことのある方、心臓の再手術の方などは自己心膜が使用できない場合がありますが、その場合は牛心膜を使用します。牛心膜を使用しても自己心膜と遜色ない経過であると報告されています。
痛みの感じ方は人によって違いますが、通常の開心術と変わりなく痛みは軽く済む方が多いです。
通常の開心術と同様に術後一過性の心嚢液貯留や不整脈などがあります。適宜対応させていただきます。