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狭心症・心筋梗塞(虚血性心疾患)(きょうしんしょう・しんきんこうそく(きょけつせいしんしっかん)) | 加古川中央市民病院
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狭心症・心筋梗塞(虚血性心疾患)(きょうしんしょう・しんきんこうそく(きょけつせいしんしっかん))

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狭心症・心筋梗塞(虚血性心疾患)について

心臓は、心臓の筋肉(心筋)を収縮させることによって血液を体中に送り出すポンプの役割をしています。心臓の表面を『冠』のように覆っていて、心筋に動脈血を供給し、栄養する動脈のことを冠動脈と呼びます。

虚血性心疾患とは、冠動脈の内壁に徐々にコレステロールが沈着してプラークを形成し、その結果、血管内腔は狭められ、心筋への血流が低下することで心筋に障害が生じる病気です。

狭心症は、冠動脈が細くなっている(狭窄)状態であり、労作など心臓に負荷がかかると血流が低下し症状が出現し、安静にしていると血流が改善するため症状も改善します。冠動脈の細くなっているところが何らかの原因で破れ、血の塊(血栓)ができ、完全に閉塞すると、心筋に壊死が生じて、心筋梗塞を生じます。心筋に壊死が生じると、心不全、不整脈、血圧低下、心破裂など重篤な状態を引き起こし、死に至る可能性もあります。

冠動脈に狭窄がなくても、ストレスや寒さ、飲酒、喫煙によって痙攣が引き起こされて動脈が狭窄する冠攣縮性狭心症(異型狭心症)を有している方もおられ、日本人に比較的多いパターンともいわれています。

冠動脈

狭心症と心筋梗塞の違い

症状

狭心症の症状は、運動時(階段や坂道を走ったり急いだ時など)に、胸の違和感(痛みや締め付けられるような圧迫感)や、息切れ、気分不良などです。狭心症は、完全に動脈が閉塞していないため、安静にしていると良くなることが多いですが、一方で心筋梗塞になると完全に閉塞しているため、安静にしていても強い胸の締め付け感や痛みが30分以上持続し、不整脈などで意識を消失することもあります。急性心筋梗塞による死亡はWHOの報告では24時間以内に生じることが80%で、病院到着前に不整脈を生じ急死する場合がほとんどだと言われています。病院到着後でも5~10%は死亡する非常に怖い病気です。虚血性心疾患を有している方で30分以上持続する胸痛があれば早めの受診をお勧めします。

検査

まずは問診ですが、正確な診断のために採血、胸部レントゲン、心電図検査、心臓超音波検査を、虚血性心疾患が疑われた場合は、精密検査(運動負荷検査、CT画像検査、核医学検査)などを行い、最終的にはカテーテル検査で適切な治療法や手術の時期を判断していきます。

血液検査

胸部レントゲン検査

心電図検査

心臓超音波検査

負荷心電図検査

CT画像検査

核医学検査

核医学検査

冠動脈CT検査

カテーテル検査 正常な冠動脈

右冠動脈

左冠動脈

狭窄したり閉塞した冠動脈

治療方法

薬による治療

  • 血管拡張剤(ニトロ製剤やカルシウムブロッカーなど)
    冠動脈を拡張させて血流を増加させたり、全身の血管を拡張させることで心臓の負担を軽くします。
  • 抗血小板剤(アスピリン、チエノピリジン)
    冠動脈に生じた血栓を溶かしたり、血液の通りをよくして、冠動脈の血流を増加させたりします。
  • βブロッカー
    心臓の動きを休めることにより心臓の負担を軽くして、虚血状態を軽減します。
  • スタチン(コレステロール低下薬、PCSK9阻害剤)
    コレステロールを低下させることで、冠動脈に沈着したプラークの増大を予防したり、強力に低下させるとプラークを退縮させる可能性もあります。

手術による治療

虚血性心疾患に対する手術にはカテーテル手術と冠動脈バイパス術があります。

カテーテル手術:経皮的冠動脈形成術(PCI)

狭くなった冠動脈を血管の中から広げるカテーテル手術のことです。局所麻酔でカテーテルを手首や鼠径部から挿入し、バルーン(風船)やステント(金属の網)などを用いて、狭くなった部位を拡張させます。この治療法は、開胸することなく治療が出来るので短時間で終了し、体への負担も少なく、退院までの期間が短く済むメリットがあります(2泊3日程度)。急性心筋梗塞の場合は、いち早く血流を再開させることができるため第一選択の治療と考えられます。

最近のステントの網には再狭窄を予防する薬剤がコーティングされており(薬剤溶出性ステント)、再狭窄の確率は数%で非常に良好です。また、再狭窄予防型のバルーン(薬剤コーティングバルーン)も使用できるようになり、ステントを留置しなくても(金属などの異物を体内に残さなくても)良好な成績があげられるようになってきています。

冠動脈が高度に硬くなっている(石灰化)場合は、ロータブレーターやダイヤモンドバック、ショックウェーブバルーンなどを用いて石灰化を破砕して、拡張しやすくしたり、方向性冠動脈粥腫切除術で冠動脈のプラークを切除して、プラーク量を減量することで血管の拡張をよくさせる機械も使用できます。

ステント留置前

ステント留置後

外科的手術(冠動脈バイパス術:CABG)

カテーテル治療が困難な場合や病変部位が多い場合などには冠動脈バイパス術の適応となります。 冠動脈バイパス術は病変部位(狭窄・閉塞)の末梢に、別の部位から採取した自己の血管(バイパスグラフト)を吻合することで迂回路を作り、血流を改善させるという手術です。冠動脈の狭窄部分の先に足や胸などから取り出してきた血管をつなげ、迂回路を作る外科的治療です。

全身麻酔で開胸が必要となることが多く、侵襲度が高いため回復までに長期間の入院が必要になりますが、一度にすべての血管の治療が出来たり、カテーテル治療では不可能な病変でも治療ができます。最近ではMICSという手法を用いて小切開で治療が出来る場合もあります。

通常の冠動脈バイパス手術は、胸の真ん中にある胸骨を縦に切開する胸骨正中切開で行います。人工心肺を使用し心臓を停止して行う方法や、人工心肺を使用せずに心拍動下で行う冠動脈バイパス術(Off-pump CABG)があり、患者さんの術前状態によって使用方法を選択します。また、患者さんへの体の負担を軽減するため、バイパスする部位が心臓の前面の1か所(前下行枝)のみの場合にはMICSによる手術も検討します。

虚血性心疾患に弁膜症や大動脈疾患を合併する患者さんも多く、それらの疾患と冠動脈バイパス術とを同時に行う手術や心筋梗塞に合併した心室中隔穿孔や左心室破裂に対する緊急手術、左心室瘤に対する左室形成術なども行っております。

当院心臓血管センターは、高度で安全な虚血性心疾患治療を、24時間365日提供することをモットーにしています。何か相談がありましたら担当医にお気軽にご相談ください。

スタッフ

循環器内科

専門分野

心臓カテーテル検査
インターベンション・運動負荷検査
循環器疾患全般

学会専門医・認定医

日本内科学会認定内科医・指導医
日本循環器学会認定循環器専門医
日本心血管インターベンション治療学会認定専門医・指導医
日本経カテーテル心臓弁治療学会TAVR実施医
厚生労働省認定臨床研修指導医
神戸大学医学部臨床教授
医学博士

専門分野

循環器疾患全般 
カテーテルインターベンション

学会専門医・認定医

日本内科学会総合内科専門医・認定医
日本循環器学会認定循環器専門医
日本心血管インターベンション治療学会専門医
日本経カテーテル 心臓弁治療学会指導医
厚生労働省認定臨床研修指導医
医学博士 

専門分野

循環器疾患全般
カテーテルインターベンション

学会専門医・認定医

日本内科学会総合内科専門医・指導医
日本内科学会認定内科医
日本循環器学会認定循環器専門医
経カテーテル的大動脈弁置換術関連学会協議会認定指導医
日本心血管インターベンション治療学会CVIT認定医
日本医師会認定産業医
厚生労働省認定臨床研修指導医
医学博士

専門分野

循環器疾患全般 
循環器画像診断

学会専門医・認定医

日本内科学会総合内科専門医・指導医
日本循環器学会認定循環器専門医 
日本核医学会核医学専門医
欧州心臓病学会(ESC)心臓MRI認定試験合格
厚生労働省認定臨床研修指導医
医学博士 

専門分野

循環器疾患全般
心臓弁膜症

学会専門医・認定医

日本内科学会総合内科専門医
日本内科学会認定内科医・指導医
日本循環器学会認定循環器専門医
日本心エコー図学会SHD認証医
厚生労働省認定臨床研修指導医 
医学博士

心臓血管外科

専門分野

心臓血管外科全般

学会専門医・認定医

日本外科学会外科専門医
心臓血管外科専門医認定機構心臓血管外科専門医
胸部ステントグラフト実施医
(GORE TAG/Relay Plus)
腹部ステントグラフト指導医
(Gore Excluder/Endurant/AFX)
厚生労働省認定臨床研修指導医
医学博士

専門分野

心臓血管外科全般
先天性心疾患

学会専門医・認定医

日本外科学会外科専門医
心臓血管外科専門医認定機構心臓血管外科専門医
厚生労働省認定臨床研修指導医