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画像提供:アボットメディカルジャパン合同会社
心不全と診断され入退院を繰り返している患者さんでは、5人に1人は重症な僧帽弁閉鎖不全症を合併していると言われています。
心臓にある弁が何らかの原因で、うまく機能しなくなった状態を心臓弁膜症といいます。多くは加齢が原因で、弁が閉じにくくなる「閉鎖不全」と弁の開きが悪くなる「狭窄」があります。
その中でも高齢者に特に多のが、「僧帽弁閉鎖不全症」と「大動脈弁狭窄症」です。
僧帽弁閉鎖不全症は、左心室と左心房の間にある僧帽弁がうまく閉じなくなり、血液が左心室から左心房に逆流してしまいます。これにより心臓と肺に常に負担がかかった状態になります。治療しないままだと心不全を引き起こし、呼吸困難から命にかかわる危険性もあります。
経皮的僧帽弁クリップ術とは 高度の僧帽弁閉鎖不全症の患者さんを対象に行う治療です。 これまで高齢の方で手術リスクが高い場合は治療をあきらめるケースがありました。このような患者さんに対してカテーテル治療は選択肢の1つです。僧帽弁をクリップでつまむことで、血流の逆流を改善します。人工心肺は用いず、心臓は止めずに治療を行うことができます。日本でも2018年4月から保険適用され、当院でも2022年5月より施行開始し、治療の選択が拡大されています。
※患者さんの僧帽弁や逆流の形態に合わせたデバイスを選択しています。
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カテーテルやクリップで僧帽弁を傷つけ僧帽弁が裂けたり、僧帽弁をつなぎ止めている腱策を切ってしまい僧帽弁の逆流がかえって増大してしまったり、カテーテル挿入時に心臓に穴を開けてしまい血圧低下や呼吸状態が悪化することが起こりえます。また、カテーテルを体内に入れた際に血栓ができ、それが脳の血管に詰まり脳梗塞を起こすことがあります。
外来受診から退院まで、およその流れ
これまでの病状および現在の症状などをうかがい、採血、胸部レントゲン、経胸壁心臓超音波などのスクリーニング検査を行います。
経食道心エコー図検査(胃カメラの要領でエコーの機械を飲んでもらい、食道から観察する心エコー検査)や必要に応じて負荷心エコー図検査やCT検査を行います。経食道心エコー図検査は経皮的僧帽弁クリップ術に適した僧帽弁の形態をしてるかどうか評価するために必須の検査になります。慢性心不全をお持ちの患者さんは、点滴及び薬剤調整のため手術前に入院頂くこともあります。問診や検査結果をもとに、多職種から構成されるハートチームメンバーで評価させていただき、患者さんに適した治療の選択(カテーテル治療もしくは外科治療)を行うべく話し合いを行います。治療に対するご本人・ご家族のご希望もゆっくりとお話を伺います。
循環器内科、麻酔科と協力の上、経皮的僧帽弁クリップ術を行います。手術は全身麻酔で行うため、手術後は集中治療室(ICU)に入室いただき、術後管理後、心不全が落ち着いていれば術翌日に一般病棟へ転棟になります。状態が落ち着いていれば術翌日よりリハビリテーションを開始します。合併症なく経過した場合はおおよそ5日~7日間(約1週間)で退院します。
2018年4月より、経皮的僧帽弁クリップ術は健康保険適用となりました。さらに、高額療養費制度をご利用いただと、費用の負担を軽減することができます。
手術前日に入院、術後は5日~6日程で退院となります。
僧帽弁が石灰化して硬くなり狭窄を伴っている患者さんは、手術後に狭窄症がひどくなる可能性があり、受けれない場合がありますが、治療器具や手技の進歩により門戸は広がっており、多くの外科手術困難な患者さんでできる可能性があります。
年齢が若く、手術リスクの少ない患者さんの場合は、外科的僧帽弁形成術がより長期成績が良いため外科治療をお勧めする場合があります。
手術は全身麻酔で行い、足の付け根の血管の入り口を作るための10mmほどの切開のみで手術できるためほとんど痛みを感じない方が多いです。
僧帽弁を傷つけ逆流が悪化してしまったり、脳梗塞を生じて麻痺などの合併症が起こる可能性がありますが、頻度は少なく、状態の悪い方でも安全に施行できる手術です。
僧帽弁狭窄症にはM-TEER以外の治療もあり、患者さん一人ひとりの適応に合わせ、検討します。
循環器疾患全般
カテーテルインターベンション
日本内科学会総合内科専門医・認定医
日本循環器学会認定循環器専門医
日本心血管インターベンション治療学会専門医
日本経カテーテル 心臓弁治療学会指導医
厚生労働省認定臨床研修指導医
医学博士
循環器疾患全般
カテーテルインターベンション
日本内科学会総合内科専門医・指導医
日本内科学会認定内科医
日本循環器学会認定循環器専門医
経カテーテル的大動脈弁置換術関連学会協議会認定指導医
日本心血管インターベンション治療学会CVIT認定医
日本医師会認定産業医
厚生労働省認定臨床研修指導医
医学博士