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DISEASE
不整脈とは心臓が拍動するリズムが正常ではない状態のことですが、脈が飛んだり乱れたりするもの(期外収縮や心房細動など)、異常に脈が速くなるもの(頻脈性不整脈=発作性上室性頻拍、心房頻拍、心室頻拍など)、遅くなるもの(徐脈性不整脈=洞不全症候群や房室ブロックなど)があります。
心臓は電気で動いていますが、心筋梗塞や心筋症などの心疾患だけでなく、生まれつきもしくは加齢変化に起因する電気系統の異常も原因となります。放置していても問題がない不整脈もあれば、心不全、意識消失発作や突然死をきたすような危険な不整脈も存在します。自覚症状の有無と重症度は必ずしも一致しないため、まずは適切な診断を行った上で治療の必要性を判断することが重要です。
心臓の血液を送り出す力が落ちるため、疲労感や息苦しさ、意識が遠くなるようなめまい、ふらつきを生じることがあります。重症の場合、失神、突然死をきたすことがあります。
不整脈の種類により、さまざまな症状が出ます。自覚症状や血圧計での心拍数の異常などからある程度不整脈の種類が類推できることもあります。いつ頃からの症状か、発作性の不整脈であればその頻度や持続時間なども参考になります。意識消失発作や眼前暗黒感を伴う不整脈は危険性の高いものが疑われますので、早期の受診をお勧めします。
問診の様子
不整脈の確定診断には心電図が必須になります。特に発作性の不整脈の場合には発作時の心電図を捉えることが重要ですが、なかなか難しい場合もあり、その際は運動負荷心電図検査や長時間心電図検査(ホルター心電図検査)を行うこともあります。 市販の携帯心電計や心電図記録ができる腕時計で発作時の心電図を記録しておくと、診断に非常に役立つことがあります。
心電図検査
長時間心電図
負荷心電図検査
不整脈は心疾患のみならず、他の疾患が原因で起こる場合もあります。心臓のポンプ機能、弁膜症や先天性心疾患などの構造的な異常の評価のために心臓超音波検査、心不全の評価、甲状腺機能異常や貧血、電解質異常の有無などの確認のために胸部レントゲン検査や血液検査を行うことがあります。
心臓超音波検査
胸部レントゲン検査
血液検査
治療にはいろいろな選択肢がありますが、いずれも有効性には限界もあれば治療に伴う合併症のリスクもあり、完璧なものはありません。当院では複数の不整脈専門医やスタッフが協力して、患者さんのご要望を踏まえながら、下記の中からのいずれか一つだけでなく、時にはいろいろな手段を組み合わせて最適な医療を提供できるように心掛けています。
不整脈治療の基本となります。主に頻脈性不整脈が対象になります。不整脈そのものを抑える作用のある薬の他に、自覚症状の緩和を図るための薬もあります。ただ、いずれも効果には個人差があり、薬剤選択や最適な用量については試行錯誤が必要なこともあります。また、主に心臓が小刻みに震えてしまう心房細動では心臓内にできた血栓(=血の塊)が血流に乗って流れていくことで全身の血管に詰まる重篤な血栓塞栓症を起こすことがあります。特に脳の血管が詰まった場合には脳梗塞となり、半身麻痺や言語障害などの重大な後遺症が残る事が多く、時に致命的にもなりえます。そのために血栓リスクが高い方には、血栓ができるのを予防する抗凝固療法が必要なこともあります。薬物治療は多くの場合、外来での導入が可能ですが、特に副作用には注意が必要です。また、薬で不整脈を根治する事はできませんので、不整脈とうまく付き合っていくための治療とも考えられます。
不整脈を根本的に治すことを目指した治療方法です。ほぼ全ての頻脈性不整脈に対してカテーテルアブレーションが選択肢となり、薬物治療よりも非常に有効性が高い事が知られています。細長い管状のカテーテルを太ももの付け根から血管を通じて心臓に挿入し、異常な電気信号を発する部分に電流を流して治療します。近年では、心房細動の患者さんに対するカテーテルアブレーションが増えています。
通常のカテーテルアブレーションはベッドサイドの医師が手で直接カテーテルを操作しながら手術を行います。カテーテルをより安全にかつ正確に行える遠隔操作の手術も行っています。
足の付け根の静脈からカテーテルを挿入し、カテーテル先端から高周波通電することで標的部位に熱を発生させて治療を行います。(2時間から4時間程度)
短時間の高電圧パルスを心房細動の原因となる心臓の筋肉だけに加えて熱を発生させずに治療を行います。従来問題となっていた心臓外臓器への熱の影響による合併症リスク(特に食道や神経への影響)の減少が期待されます。
近年の治療の進歩は著しいですが、上述のごとく心房細動の多くは加齢と生活習慣病が原因であり、個人差はありますが術後もそれなりに再発があるという限界があります。複数回のカテーテルアブレーションや薬物治療の併用が必要になることもありますが経過を診ないと効果判定ができないため、手術だけでなく、術後の外来での経過観察も非常に重要です。生涯に渡っての「根治」はなかなか難しいかもしれませんが、生活習慣の改善やアブレーション効果で発作頻度を減少させて生活の質の改善を図り、持続性への進行をできるだけ抑えることで将来の心不全や脳梗塞リスクの低減を目指す治療とも言えます。 当院でのカテーテルアブレーションはいずれの不整脈でも概ね3泊4日の入院期間です。
体内に医療機器を植え込むことで不整脈治療を行います。
脈が遅いことで息切れやむくみなどの心不全を起こしたり、数秒間心臓が止まってしまって意識消失発作やその前兆を来すような徐脈性不整脈が対象となります。鎖骨下の静脈から心臓までリード線を留置してペースメーカ本体を鎖骨下に作成したポケットに留置する「経静脈ペースメーカ」と、太腿の付け根から心臓の中にリード一体型の小さな本体(全長約26-38mm)を留置する「リードレスペースメーカ」の2種類があります。それぞれメリット・デメリットがありますので、各患者さんの他の疾患も考慮しながらいずれをお勧めするか検討します。その他、心臓のポンプ機能が非常に低下した患者さんに行う「両心室ペースメーカ」植込み術も行っています。当院での概ねの入院期間は新規植込み手術で1週間、交換手術は3泊4日です。
致命的になり得る危険な不整脈を経験した方(=二次予防)、もしくは将来その発症リスクが高いと考えられる方(=一次予防)に植込む機器です。近年、町中にも普及が進む自動体外除細動器(AED)の体内植込み型と考えて頂ければ分かりやすいかと思います。危険な不整脈を即座に自動診断して高頻度のペーシング(痛みを伴わない心臓への電気刺激)や電気ショックを行うことで速やかに治療を行い、救命を図ります。心臓突然死の予防としては最も確実性の高い手段と考えられます。ただ不整脈発作を予防するものではなく、特に電気ショックはときに精神的・肉体的な苦痛を伴うことがありますので、できるだけ機械が作動しなくても済むように薬物治療やカテーテルアブレーションを追加することもあります。また、手術に伴う長期的な合併症の他、自動車運転や職業上の制限を受けることもあります。当院では上述の経静脈ペースメーカと同様に鎖骨下に本体および静脈~心臓の中にリード線を植込む「経静脈ICD」と、左の脇腹に本体、前胸部の皮下にリード線を留置する「皮下植込み型」の手術に対応しています。やはり、それぞれメリット・デメリットがありますので、いずれをお勧めするかは個別に検討してご相談するようにしています。いずれも新規植込み後は概ね1週間の経過観察、交換は3泊4日の入院予定です。
治療ではありませんが、原因不明の失神発作(=一過性の意識消失発作)や脳梗塞の原因を調べるために左前胸部の皮下に植込む「植込み型心電計」の手術も行っています。当院では通常1泊2日の入院です。
心臓血管外科で治療される主な不整脈は心房細動で、一次性または二次性僧帽弁逆流症に伴うことが多く、併せて手術を行うことがあります。術前に心房細動の罹病期間や左心房のサイズ等によりメイズ手術*¹を追加するか検討します。
*¹心房細動を治療するための手術
心房細動に対する外科手術はメイズ手術といわれており、心臓の中にある異常な電気の通り道を切断する目的で高周波焼灼やクライオ(凍結凝固)を行います。これらの手術は専用のデバイスを用いて治療を行います。
併せて血栓のできやすい左心耳の閉鎖が行われます。
一般的にメイズ手術後の洞調律への復帰率は70~80%とされており(図2)、当科でも同等の成績です。
図2)メイズ手術前後の心電図
弁膜症の手術術式にもよりますが、僧帽弁形成術(自分の弁を温存して人工弁を使用しない術式)で逆流を制御でき、メイズ手術を行って洞調律が得られた場合には術前の抗凝固療法から開放される場合もあるという大きなメリットがあります。
当院の不整脈診療では、第一に「ガイドラインに沿った標準治療をできるだけ安全に提供する」ことを主眼としつつ、それだけでは対応困難な複雑な不整脈に対しては個別に検討しながら対応させて頂きます。どうぞ、お気軽にご相談ください。
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