＃24 糖尿病食事療法の基本

糖尿病の大部分を占める2型糖尿病では、食生活が影響している場合が多くみられます。

食事をとると血液中の糖（血糖）が増えますが、「糖尿病」とは増えた血糖をうまくコントロールできず、糖濃度が過剰になった状態が続くことを指します。そのため、普段の食生活を振り返ってみることはとても大切です。

今回は食事療法についてのお話です。

食事療法には様々な目的があります

• 血糖コントロールの改善
• 合併症の予防（神経障害、網膜症、腎機能障害など）
• 食事量の見直しにより体重コントロールを行う
• 患者さんだけでなく、そのご家族にも適用できる健康的な献立となる　

1日3食を規則正しく食べることで血糖値を安定させましょう

欠食があったり、食事の時間帯にバラつきがあると過食や間食増加の原因となります。
朝昼夕の3食を通して生活にリズムを付けましょう！

参考：日本医師会　「糖尿病の治療法」　3つの治療法をうまく組み合わせることを元に作成

こんな食べ方は要注意！

• 早食い→　満腹感を感じにくく、食べ過ぎの原因に
• 欠食が多く、まとめ食い→　膵臓への負担が大きく、糖尿病悪化につながりやすい
• 就寝前の食事や間食→　夜間～早朝の高血糖につながることも
• 糖質に偏った食事→　高血糖の原因に

食事の組み合わせを意識する

栄養素ごとに血糖変動に与える影響は異なり、それぞれの役割があります。

きちんと理解することでバランスの良い食事を心がけましょう。

【表１・２ 炭水化物を豊富に含む食品】

体の大事なエネルギー源で脳の栄養となり、身体を動かすガソリンとなります。

果物はビタミン、ミネラルがとれ、美味しく季節を感じることが出来る食品ですが、必要以上にとりすぎると血糖コントロール不良につながるため注意が必要です。

【表３・４ たんぱく質を豊富に含む食品】

筋肉や血液、細胞を作る源でもあり、身体の免疫にも関わり大切な役割があります。

乳製品もタンパク質を含む食品ですが、カルシウムを多く含む食品になりますので1日1回食べることが理想。

【表５　主に脂質を含む食品】

油は血糖値に与える影響は炭水化物に比べて少ないですが、エネルギー量・カロリーは倍以上となり、肥満の原因となるため注意が必要です。また油のとりすぎはLDLコレステロールの上昇など悪影響を招くこともあるため、過剰な摂取には注意してください。

【表６　主にビタミン・ミネラルを豊富に含む食品】

体の調子を整えてくれるだけでなく、血糖値の急激な上昇を防いだり、血圧を下げるなど、身体にとってメリットの大きなグループ。

ですが、このグループだけではエネルギー不足や体調不良、免疫力の低下等のリスクが出てきます。

日本糖尿病学会編・著：糖尿病食事療法のための食品交換表,第7版,日本糖尿病協会・文光堂,13項,2013を元に作成

三大栄養素のバランス目安

上手に組み合わせるためのポイント

• 「【表１】炭水化物」「【表３】たんぱく質」「【表６】ビタミン、ミネラル」は毎食たべる
• 「【表２】果物」と「【表４】乳製品」は、1日1回を目安にとる
• 「【表５】脂質」は適度に、とり過ぎは注意

【例】良い食事

(主食・主菜・副菜が揃った食事。食品分類の【表１】・【表３】・【表６】が揃っています。)

【例】悪い食事例

(糖質が豊富な食品を組み合わせた食事。食品分類の【表１】に偏っています。)

参考：日本食事摂取基準のエネルギー産生栄養素バランスを元に作成

1日に必要なエネルギー量の求め方

ここでは簡易的な算出法をご紹介します。

ご自身に1番近い身長を確認し、1日に必要なエネルギー量を基準に食事を調整しましょう。

※主治医からあらかじめ栄養量の指示がある場合はそちらを優先してください。

参考：糖尿病診療ガイドライン2019　P34-35　「Q3-3総エネルギー摂取量をどのように定めるか？」を元に作成

食後血糖値を防ぐ食べ方

野菜から食べると、血糖値の急上昇が抑えられます。

野菜→たんぱく質のおかず→主食（炭水化物）の順で食べましょう。

データ：糖尿病：53,2,96-101,2010

血糖値をコントロールするために心がけてほしいこと

• 食品の組み合わせを意識する
• 食品の目安量を考える
• エネルギー過剰に注意する
• 野菜から食べ始める

食事療法は継続することで少しずつ効果がでます。

まずは続けられそうなことを目標として設定してみましょう。

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