#13 糖尿病と認知症
今回は、糖尿病と認知症の関係について説明します。我が国の認知症の人の数は、現在600万人とされており、2025年には高齢者の5人に1人が認知症になると推定されています。糖尿病のある人は糖尿病がない人と比べて約1.5培認知症になりやすいと言われていますが、糖尿病の治療を行っている人の認知症の発症リスクはそれほど大きくなかったことが報告されており、糖尿病の治療が認知症の予防になる可能性があります。
認知症は予防できる?
認知症はこれまで予防できない病気、治らない病気とされてきましたが、研究の進歩によって必ずしもそうでないことがわかってきました。
糖尿病、高血圧、肥満症などの病気を治療すること、運動不足や抑うつ状態を防ぐこと、社会的な孤立を防ぐこと、禁煙、聴力低下に対するケアをすることなどにより、認知症の約40%は予防できる、またはその発症を遅らせることができるとされています。
糖尿病で認知症になりやすい要因
①血糖値
HbA1c8%を超える高血糖や、意識障害を生じる重症低血糖を起こすと認知症を来しやすくなります。重症低血糖の回数が増えるほど、認知症が増えることがわかっています。また、血糖値の変動が大きい人も認知症になりやすいと言われています。
②合併症
脳卒中、末梢動脈疾患、糖尿病腎症などの合併症がある人や、動脈硬化の危険因子である高血圧、脂質異常症、喫煙などは認知症発症の危険因子です。
③生活習慣
週3日以上運動をする人は、週3日未満の人と比べると認知症のリスクが約38%減少します。
食事においては、動物性脂肪のとりすぎ、ビタミンや緑黄色野菜の摂取不足が認知機能低下と関係しています。
その他、睡眠不足(5時間未満)、睡眠過多(9時間以上)、うつ病が認知症の危険因子であることがわかっています。
糖尿病の運動療法と食事療法を継続し、適切な睡眠とこころの健康を維持し、血糖値、血圧、脂質を適切に管理することが認知症予防になります。
認知症、フレイルの予防の観点から推奨される健康食事パターン
【引用文献】
Xue M. Ageing Research Reiews 55: 100944, 2019.
Mclntosh EC. Diabetes Care 42 (5) : 972-979, 2019.
Rawlings AM. Diabetes Care. 2019 Jul; 42 (7) : 1248-1254.
- 糖尿病・代謝内科
医師 松本梨佐
- 子供が1歳半を過ぎ、毎日一緒に出勤しています。雨の日はベビーカーを特に嫌がるので、梅雨が憂鬱です。
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