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院内で開催された糖尿病教室の内容をピックアップし、皆様へお届けします!

#28 「血糖値を下げるだけではダメ?」~糖尿病治療の意義について~

インスリンについて

糖尿病は、インスリンの作用不足により血糖値が慢性的に高くなる病気。

インスリンは膵臓から分泌される、血糖値を下げる唯一のホルモンです。食事を摂ると血糖値が上昇し、それに応じてインスリンが分泌されます。分泌されたインスリンは、ブドウ糖を体内に取り込み、さまざまなエネルギー源として利用されます。

インスリンの作用不足とは…

➀出てくるインスリンの量が少ない

➁インスリンは出ているけれど効き目が悪い

糖尿病を発症するとどうなる?

糖尿病を発症した人の多くは無症状です。のどの渇き、排尿回数の増加、疲れやすさなどの症状がある場合は、糖尿病そのものではなく合併症の影響である可能性が高いです。

※糖尿病に特有の症状ではないため糖尿病以外の可能性もあります。

糖尿病合併症とは・・

高血糖が長く続き、その期間に比例して生じる神経や血管等の障害です。

合併症を予防するためには

良好な血糖コントロールが必要。もし合併症を発症したとしても、血糖コントロールを行うことで合併症の進展を阻止できたり、新たな合併症を予防することが出来ます。

糖尿病の治療

治療の基本は「食事療法」「運動療法」「薬物療法」の三本柱。

中でも特に重要なのが「食事・運動療法」です。いくら有効な薬物療法を行っても食事・運動が疎かになってしまうと糖尿病のコントロールは困難になります。

①食事療法

食事療法で重要なことは

  • 適正エネルギー量を保つこと
  • 栄養素のバランスを良くすること
  • 規則正しい食事時間にすること

糖尿病だからと言って食べてはいけないものはありません。

大切なのは栄養バランスを保ちつつ規則正しい食事を摂ること。「朝ご飯を食べない」、「夕食の時間が遅い」などは肥満を助長し糖尿病管理が困難になります。

②運動療法

有酸素運動(散歩やジョギングなど)、筋力トレーニング(スクワットなど)は1回5-10分程度からでも問題ありません。運動療法において重要なことは「やらないよりは少しでもした方がよい。もっと出来るならなお良いし、すぐに始めるのが一番良い。」

③薬物療法

経口血糖降下薬(飲み薬)やGLP-1受容体作動薬と言われる週1回打ちのインスリン皮下注射などがあります。

インスリン皮下注射Q&A

近年の針は細く、痛みは少ないです。

膵臓を守る働きがあるため、インスリンの影響で出なくなることはありません。

食事・運動習慣・ご自身の膵臓の状態によってインスリンをやめることは可能です。

飲み薬には「インスリンの分泌を助けてくれるもの」や「糖の吸収を遅らせるもの」、「尿中に糖排出を促すもの」など様々な効果を持つものがあります。

薬物療法は「血糖値を下げる」だけでなく、他の臓器への影響や患者さんの状態に応じて選択されます。

糖尿病・内分泌内科 専攻医 一ノ瀬 祐人

糖尿病は単に血糖値が高くなる病気ではなく、問題は血糖値が高いことで起こる合併症です。
通常は自覚症状がないことがほとんどのため、治療意欲が高まりにくいことが問題となりやすいですが、将来のご自身の健康のために定期的な検診や診察を受けるようにしましょう。

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