厚生労働省によると、2021年度の本邦における平均寿命は男性が81.4 歳女性が 87.4 歳、健康寿命は男性が 72.6 歳女性が 75.3 歳だったそうです。健康寿命とは「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」のことで、喜ばしいことにこのコロナ禍にあっても健康寿命は年々伸び続けています。それでも平均寿命と健康寿命の差を考えると、寝たきりを含む不自由な状態を 10 年近く強いられかねないということになります。介護が必要になる要因のうち、転倒による骨折は主要な要因の一つです。立った高さからの転倒など、軽微な外力で生じる骨折のことを脆弱性骨折といいますが、骨粗しょう症になると、この脆弱性骨折を起こす確率が非常に高くなってしまいます。骨粗しょう症を知って予防・治療することで、骨折のない快適な生活を目指していきましょう 。
#06 骨粗しょう症と骨折
骨粗しょう症は、低骨塩量と骨組織の微細構造の異常を特徴とし、骨の脆弱性が増大し、骨折の危険性が増大する疾患である。
WHO(世界保健機関)
骨粗しょう症年齢別・性別発症率
Point
男女ともに80歳以上で急速に発症率高くなります。
骨粗しょう症の自覚症状
- 背中や腰が曲がってきた
- 立ち上がる時に背中や腰が痛む
- 背が低くなる(25歳の時の身長より4cm以上)
- 椎体の圧潰変形を来している形態骨折でも2/3が無症候性
- 定期的に骨密度検査を受けるなど日頃からのチェックが必要
- はっきりした自覚症状はないことが多い
検査方法
DXA(デキサ)法
エネルギーの低い2種類のX線を使って測定。全身のほとんどの骨を測ることができます。 一般的に腰の骨(腰椎)や脚のつけ根(大腿骨近位部)の骨密度を正確に計測して表わされます。
超音波法
かかとやすねの骨に超音波をあてて測定します。 骨粗しょう症の検診に用いられることが多く、X線を使用していないため、妊娠中の方でも測定することができます。
MD法
X線を使って、手の骨と厚さの異なるアルミニウム板とを同時に撮影し、骨とアルミニウムの濃度を比べることによって測定します。 診療所などで容易に計測できるため、普及しています。
骨粗しょう症の治療
治療の中心は薬物治療
骨粗しょう症の予防においては食事療法や運動療法が基本。骨折のリスクが高い例では薬物治療を積極的に行い、骨折を予防していくことが必要となる。骨粗しょう症と診断され、薬物治療をはじめても、1年後には患者さんの約5割が処方通りの服薬ができていないという報告もある。
自己判断で薬を中断しないようにすることが必要。
骨粗しょう症の食事療法
骨粗しょう症の食事の基本は、適切なエネルギーとバランスのよい食事を摂りましょう。
特定の食品に偏ることなく、できるだけ多くの種類の食品を摂取することが望ましいです。
エネルギーについては体重の変動で管理しましょう。
どこに受診したらいいのでしょう?
※骨粗しょう症の検査や治療は、診療所でも行っているところがあります。まずは、近隣の内科・産婦人科・整形外科を受診しましょう。また、市町村などで実施している検診をうけることもできます。
- 整形外科
科副部長 奥町 悦子 - 骨折予防は日々の積み重ねです。今のうちから骨を減らさない生活習慣を心がけましょうね。
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