ホーム > ウェブマガジン > プチ健康教室 > #20 泌尿器科系のがんについて

#20 泌尿器科系のがんについて

泌尿器がんとは、前立腺、膀胱、腎臓、腎盂・尿管、精巣などに発生する悪性腫瘍です。

その中でも男性が最も多くかかるがんが「前立腺がん」、男女ともに多くみられるのが「膀胱がん」です。

今回は、この「前立腺がん」と「膀胱がん」についてのお話です。

前立腺がん

前立腺がんについて

前立腺は男性だけにあり、尿道を取り囲むように位置するクルミ大の臓器で、精液の一部となる液体をつくる役割があります。この前立腺の細胞が異常に増殖し、制御できなくなることで発生する悪性の腫瘍が前立腺がんです。

前立腺がんの症状

初期症状はほとんどなく、自覚がないことが多いです。

進行すれば、尿が出にくくなったり、血尿や体に痛みが現れます。

前立腺がんが増えている理由 

  • 高齢化の影響…高齢になるほど発症リスクが高まる
  • PSA検査の普及…PSA(前立腺特異抗原)による、早期がん発見数の増加
  • 診断技術の向上…MRIなど画像診断技術の向上
  • 生活習慣の欧米化…食生活の変化による環境的要因

検査について

血液検査

PSAとは「前立腺特異抗原」の略で、前立腺から分泌されるタンパク質です。前立腺に異常があると、PSAが血液中に漏れ出し、血中濃度が高くなります。 前立腺がんは、比較的進行が遅いがんで自覚症状が出にくいため、病気に気づきにくいことが特徴です。そのため、血液検査を行うことで、早期発見につながります。

直聴診・経直腸エコー(経直腸的前立腺超音波検査)

直腸から前立腺を触れて、前立腺全体の大きさや硬さ、直腸側の表面の不整の有無を確認し、がん病変の存在や広がりを調べます。また、がん細胞が周囲の組織へ浸潤している可能性についても判断します。経直腸エコーは、超音波を発する器具(プローブ)を肛門から挿入して、前立腺の大きさや中の性状を調べる検査です。

MRI

体の断面を撮影する検査で、CTでは見つけにくい局所進行がんの有無や広がりを確認します。

前立腺針生検(組織検査)

直腸に超音波(エコー)装置を挿入して前立腺の位置を確認しながら、細い針で前立腺の組織を採取します。採取した組織を顕微鏡で調べる病理検査により、がんの有無を診断します。

前立腺がんの治療について

治療一覧

前立腺がんの予防について

食事

大豆製品に含まれるイソフラボンには、前立腺がんの予防効果が期待されています。また、野菜や果物の摂取を増やし、肉類や加工肉の摂取を控えることが望ましいとされています。

運動

定期的な運動は、大腸がんなど他のがんのリスクを低減することが示されており、予防効果が期待されています。

また肥満は前立腺がんのリスク因子の一つとされており、適切な体重管理も重要です。

膀胱がん

膀胱がんについて

日本では、泌尿器がんの中で2番目に多いがんで、高齢者(特に60〜70歳代)に多く発症します。また、女性の3〜4倍と男性に多くみられ、近年は患者数が年々増加傾向にあります。

データ参照:国立研究開発法人国立がん研究センター

膀胱がんの症状と特徴

症状
  • 血尿(肉眼的血尿、顕微鏡的血尿) 
    痛みを伴わない血尿が最も一般的な症状です。
  • 頻尿、排尿時痛、残尿感
    がんが膀胱を刺激したり、膀胱炎を併発したりすることで起こることがあります。

進行すると
  • 背中や脇腹の痛み 
    がんが大きくなり、尿管を圧迫することで生じることがあります。
  • 足のむくみ
    リンパ節への転移により、リンパの流れが妨げられることで起こります。
  • 体重減少
    がんが進行した場合にみられることがあります。

膀胱がんのリスク因子

  • 喫煙 
    膀胱がんの最大の危険因子とされており、膀胱がん症例の約50%に関与しているといわれています。
  • 職業曝露
    染料、塗料、石油化学製品などを扱う職業では注意が必要。
  • 特定の薬剤
    一部の鎮痛薬や糖尿病治療薬などが関連すると報告されています。
  • 慢性炎症
    慢性的な尿路感染や、寄生虫感染である住血吸虫症による炎症が関係することがあります。
  • 水質汚染
    塩素処理されたプールでの遊泳や水の飲用との関連が指摘されています。

そのほか、ディーゼル排気ガスの暴露や、加工肉の過剰摂取などもリスク因子として挙げられています。

膀胱がんの検査方法

  • 尿検査(尿細胞診) 
    →尿の中にがん細胞が含まれていないかを顕微鏡で調べる検査です。
  • 膀胱鏡検査
    →細いカメラ(内視鏡)を尿道から膀胱に入れ、膀胱の中を直接観察して腫瘍の有無を確認します。
  • MRI検査
    →膀胱の断面を詳しく撮影し、がんが膀胱の壁のどこまで広がっているか(浸潤の深さ)を調べます。
  • CT検査
    →リンパ節や他の臓器への転移の有無を確認するほか、腎臓や尿管など上部尿路の状態も評価します。

膀胱がんの治療について

膀胱がんの深達度は、病理結果により分類されます(T分類)

BCG膀胱内注入療法

BCG(ウシ型結核菌)を膀胱の中に直接注入する。膀胱内の免疫反応を活性化させることで、がん細胞の増殖を抑え、再発を予防します。(T分類 Tisの治療)

浸潤性膀胱がん治療

➀標準治療

膀胱全摘除術(膀胱をすべて取り除く手術)に加え、骨盤内リンパ節郭清と尿路変向術を行います。また、手術の前後に抗がん剤などの薬物療法(補助療法)を行う場合があります。

➁膀胱温存療法

膀胱を残すことを目的とした治療で、放射線治療と薬物療法を組み合わせて行います。

転移性膀胱がん治療

薬物療法…がんが他の臓器へ転移している場合は、抗がん剤や免疫療法などの薬物療法が中心となります。

※転移の有無、全身状態により治療方針を決定

膀胱がんの予防について

十分な水分摂取は、発がん性物質の膀胱内貯留時間を短縮しリスクを低減する可能性があります。

またアブラナ科野菜(特にブロッコリー)や果物摂取も効果的です。

泌尿器科 科部長
酒井 豊

 

健康教室では前立腺癌、膀胱癌の予防について根拠に基づいて紹介させていただきました。その中で食事についてですが、あれも良くないこれも良くないと考えこんでしまうと毎日の献立が大変です。摂取しすぎない程度に気をつけていただけましたら問題ないと思います。まんべんなく美味しいものを食べましょう。

関連リンク

記事一覧