
今回のテーマは腹部大動脈瘤です。大動脈瘤の中でも最も頻度が多く、原因の90%は動脈硬化です。喫煙や高血圧、脂質異常症などが危険因子として挙げられます。破裂するまでほぼ自覚症状がなく別名‘サイレントキラー’と呼ばれ健康診断や他の病気の治療や検査中に偶然見つかることが多いいです。
#09 腹部大動脈瘤とは?
腹部大動脈瘤は正常の大きさの1.5倍以上に膨らんだ状態です。
正常径は約2㎝であり3㎝以上膨らんだ場合に腹部大動脈瘤と言います。50歳から70歳が発生のピーク、男女比は6~8:1と男性に多いとされています。

腹部大動脈瘤の診断
・腹部超音波検査
・ CT検査
※血液検査ではわかりません
動脈瘤径と破裂のリスク
一般的に4㎝未満では破裂のリスクが少ないですが、瘤径が大きくなるにつれて拡大率、破裂のリスクともに上昇します
腹部大動脈瘤は破裂してしまうときわめて死亡率が高い疾患です。病院に到達する前に亡くなる方も少なくなく、緊急手術を受けることができても、その死亡率は17-20%と言われています。(非破裂症例の25倍)
破裂する前に診断、治療を!!喫煙が動脈瘤のリスクを増大させます!!
腹部大動脈瘤の治療として 人工血管置換術

術後経過
・2-3日後より経口摂取開始
入院期間 7-10日
ステントグラフト内挿術

術後経過
・翌日より経口摂取
入院期間は5-7日
治療の選択は?
開腹人工血管置換術
長期予後が見込まれる(5年-10年)
解剖学的に複雑(ステントグラフトができない)
ステントグラフト内挿術
解剖学的適応を満たす
高齢者や併存疾患(癌、心疾患など)がある
喫煙歴、高血圧のある方は定期健康診断などで腹部超音波検査やCT検査をお勧めします!
- 心臓血管外科
科部長 田中 陽介
- 下手の横好きでゴルフにはまってます!