血管造影室業務
当院の血管造影室は3室を有しており、循環器内科をはじめ、放射線診断・IVR科、脳神経外科、小児循環器内科など、幅広い診療科のカテーテル検査・治療に対応しています。 臨床工学技士は、ポリグラフや血管内イメージング装置の操作に加え、補助循環装置(IABP、ECMO、IMPELLA)の準備・操作・管理を担っています。また、血管造影室で使用される各種検査・治療材料の在庫管理にも従事し、安全で効率的な診療体制の構築に貢献しています。

業務実績
(件)
2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | |
---|---|---|---|---|
冠動脈造影 | 775 | 797 | 716 | 616 |
経皮的冠動脈インターベンション | 540 | 520 | 467 | 415 |
末梢血管治療 | 166 | 146 | 119 | 128 |
放射線科 IVR | 132 | 190 | 110 | 178 |
経皮的シャント拡張術 | 332 | 272 | 252 | 257 |
脳血管診断 | 70 | 62 | 80 | 88 |
脳血管内治療 | 37 | 43 | 44 | 60 |
先天性心疾患カテーテル検査・治療 | 15 | 26 | 24 | 35 |
不整脈関連業務
カテーテルアブレーション業務

心臓電気刺激装置の操作や心内電位記録装置を用いた電位解析、さらには3Dマッピングシステムの操作を行い、不整脈診療を技術面から支えています。また、当院では国内で2台目となるマグネティックナビゲーションシステム(MNS)を導入しており、全カテーテルアブレーション症例のうち約2割で使用しています。臨床工学技士は、マグネットの始業前点検や位置校正、使用中のトラブル対応など、MNSの安全かつ安定した運用に重要な役割を担っています。
業務実績
(件)
2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | |
---|---|---|---|---|
心房細動 | 206 | 215 | 255 | 260 |
心房粗動/心房頻拍 | 27 | 27 | 24 | 26 |
発作性上室性頻拍 | 24 | 39 | 36 | 42 |
心室期外収縮/心室頻拍 | 20 | 14 | 16 | 21 |
植込みデバイス業務
心臓ペースメーカや植込み型除細動器(ICD)、両室ペーシング機能付き植込み型除細動器(CRT-D)などの植込み型心臓デバイスに関して、手術時のプログラマ操作を担当しています。また、デバイス外来における対面でのチェックに加え、遠隔モニタリングを活用した定期的なフォローアップも行い、継続的な安全性の確保と不整脈イベントの早期発見に努めています。


業務実績
(件)
2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | |
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ペースメーカ | 157 | 142 | 163 | 170 |
リードレスペースメーカ | 17 | 37 | 49 | 58 |
植込み型除細動器 | 20 | 26 | 21 | 26 |
皮下植込み型除細動器 | 4 | 5 | 4 | 5 |
心臓再同期療法 | 14 | 14 | 15 | 7 |
植込み型心臓モニタ | 9 | 13 | 16 | 13 |
デバイス外来 | 1,910 | 1,985 | 2,013 | 2,110 |
遠隔モニタリング | 4,460 | 5,790 | 6,999 | 7,399 |
人工心肺関連業務
弁膜症・大動脈疾患・冠動脈疾患・先天性心疾患(成人・小児)などに対する開胸手術や、低侵襲心臓手術(MICS)において、人工心肺装置を用いた体外循環の操作・管理を担当しています。2024年度は175症例において人工心肺を使用しました。 人工心肺装置「HASⅢ」は2台体制で運用しており、より高精度で信頼性の高い体外循環管理を実現しています。心臓血管外科医、麻酔科医、看護師と緊密に連携し、手術の安全性と質の向上に努めています。また、胸部および腹部大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術(TEVAR・EVAR)、経カテーテル大動脈弁植込み術(TAVI)、経皮的僧帽弁クリップ術(M-TEER)などの低侵襲治療においては、手技の記録や物品管理を担うとともに、TAVI・M-TEER症例ではハートチームの一員としてデバイスの準備も担当し、治療の質と安全性の向上に寄与しています。




業務実績
(件)
2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | ||
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人工心肺症例 | 弁膜症(MICS含む) | 56 | 82 | 85 | 41 |
大血管 | 21 | 26 | 41 | 80 | |
先天性 | 20 | 27 | 27 | 22 | |
冠疾患 | 5 | 9 | 11 | 19 | |
その他 | 1 | 5 | 8 | 17 | |
OPCAB | 8 | 10 | 6 | 1 | |
TEVAR/ EVAR | 43 | 35 | 53 | 68 | |
TAVI | 59 | 42 | 77 | 61 | |
M-TEER | – | 21 | 31 | 26 | |
AAA | 36 | 23 | 23 | 48 |
内視鏡検査業務
内視鏡検査における組織採取、ポリープ切除、止血処置などの処置の際に、医師のサポートを行っています。さらに、内視鏡的逆行性膵胆管造影(ERCP)や内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)などの高度な検査・治療にも対応しています。また、内視鏡スコープおよび周辺機器の始業前点検や定期点検、洗浄・保守管理を通じて、安全な検査・治療環境の維持に努めています。夜間・休日の緊急検査にも対応しており、24時間体制で内視鏡に関わるすべての診療支援を行っています。


業務実績
(件)
2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | |
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上部内視鏡検査 | 7,011 | 7,212 | 7,261 | 7,181 |
下部内視鏡検査 | 3,935 | 4,047 | 4,066 | 4,181 |
大腸EMR | 1,537 | 1,561 | 1,547 | 1,540 |
ESD(胃・大腸・食道) | 141 | 122 | 127 | 130 |
ERCP | 638 | 587 | 612 | 496 |
EUS/EUS-FNA | 403/88 | 346/105 | 351/72 | 341/87 |
バルーン内視鏡 | 51 | 45 | 28 | 38 |
血液浄化業務
当院の透析室は10床を有しており、血液透析の新規導入や、手術・検査目的での入院患者に対する透析治療を行っています。また、血漿交換・血液吸着・顆粒球除去といったアフェレーシス療法を含む、特殊な血液浄化療法にも対応しています。臨床工学技士は、治療前の準備やシャント穿刺、血液浄化装置の操作・保守・点検を担当するとともに、透析用水および透析液の水質管理にも従事し、安全で高品質な透析治療の提供に努めています。


業務実績
(件)
2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | |
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血液透析/血液透析濾過 | 2,402 | 2,572 | 2,473 | 2,604 |
持続的腎代替療法 | 101 | 72 | 208 | 121 |
血漿交換療法 | 51 | 31 | 38 | 33 |
胸腹水濾過濃縮再静注法 | 15 | 12 | 13 | 6 |
顆粒球吸着療法(GCAP) | 6 | 21 | 8 | 19 |
エンドトキシン吸着療法 | 5 | 4 | 2 | 1 |
ICU業務
ICUでは、人工呼吸器や補助循環装置(IABP・ECMO・IMPELLA)に加え、CRRTや血液透析の操作・保守管理を臨床工学技士が担っています。また、心不全患者などへのNPPVやHFT、成人・小児の開心術後に行われる一酸化窒素(NO)吸入療法にも積極的に携わっています。さらに、心肺蘇生後の低体温療法にも対応しており、多職種と密に連携しながら、ICUにおける高度で専門的な集中治療を支えています。


業務実績
(件)
2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | |
---|---|---|---|---|
ECMO | 38 | 36 | 56 | 33 |
IABP | 102 | 113 | 103 | 63 |
IMPELLA | 23 | 21 | 22 | 20 |
NO吸入療法 | 18 | 18 | 30 | 38 |
小児・周産期関連業務
新生児集中治療室(NICU)では、早産児・低出生体重児・呼吸障害などのハイリスク新生児に対して、閉鎖式保育器や新生児用人工呼吸器などの専用医療機器の操作および保守点検を行っています。また、一酸化窒素(NO)吸入療法や低温療法などの特殊治療にも対応しています。当院では、小児・周産期領域の医療機器管理や臨床業務の特殊性に対応するため、専任の臨床工学技士による「小児・周産期チーム」を編成し、専門性の高い体制で業務に当たっています。とくに小児在宅人工呼吸器においては、導入から在宅移行まで一貫した支援を行っており、人工呼吸器の設定、マスクフィッティング、加温加湿器の選定に加え、ご家族への使用方法の説明、回路交換、移乗時の実技指導なども実施しています。さらに、人工呼吸器の設定条件が適切であるかを確認するために、人工呼吸器および経皮モニタのデータ解析業務も行っています。

小児在宅人工呼吸器 業務実績(新規導入/機種変更)
(件)
2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | |
---|---|---|---|---|
TPPV | 5 | 7 | 3 | 25 |
NPPV | 5 | 18 | 17 | 22 |
HFT | 4 | 6 | 7 | 16 |
手術室関連業務
手術支援ロボット業務

手術支援ロボット「da Vinci」業務では、機器の設置・立ち上げ準備、各種設定、ドッキングの補助、術中のトラブル対応などを担当しています。現在、当院では泌尿器科、消化器外科、呼吸器外科の領域で導入されており、手術件数も年々増加しています。高精度なロボット支援下手術を安全かつ円滑に実施するため、チームの一員として手術室業務を支えています。
業務実績
(件)
2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | |
---|---|---|---|---|
前立腺癌 | 28 | 30 | 21 | 22 |
直腸癌 | 15 | 11 | 15 | 14 |
腎臓癌 | 9 | 9 | 7 | 24 |
肺癌 | 13 | 25 | 13 | 23 |
胃癌 | – | 2 | 16 | 20 |
結腸癌 | – | – | 1 | 21 |
ナビゲーション業務
主に人工股関節全置換術(THA)において、レジストレーションや術中ナビゲーション装置の操作、トラブル対応を担当しています。この業務は2021年度から新たに開始されたものであり、今後も安心・安全を最優先に、確実な支援体制の構築と技術の向上に努めてまいります。

末梢血幹細胞採取業務
当院では、造血幹細胞移植に必要な末梢血幹細胞採取(PBSCH)を臨床工学技士が担当しています。臨床工学技士は、血液成分分離装置を用い、血液中から必要な幹細胞だけを選択的に採取する業務を担っています。患者さんの体調を確認しながら、機器の操作・監視・トラブル対応などを一貫して行い、安全かつ効率的な採取をサポートしています。

業務実績
(件)
2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | |
---|---|---|---|---|
末梢血幹細胞採取 | 8 | 7 | 11 | 4 |
ME医療機器管理業務

臨床工学技士が管理している医療機器は約4,400台にのぼり、そのうち約800台が中央管理方式により貸出・返却の対象となっています。中央管理機器については、「原則1台1患者」の運用方針を採用しており、患者さんの使用後は速やかに返却される体制を構築しています。2024年度には、これら中央管理機器に対する貸出・返却後の点検が25,000回以上実施されており、始業点検・終業点検を通じて、常に機器の異常の有無や性能の維持を確認しています。
医療機器管理ソフト「Me-TOMASS」
当院では、宮野医療器と共同開発したME機器管理ソフト「Me-TOMASS」を導入し、機器の一元的な管理を行っています。さらに、Webアプリケーション「TOMASS-Web」と電子カルテとの連携により、中央管理機器の在庫状況の確認に加え、取扱説明書やME機器運用マニュアルの閲覧、研修会・学習会などの参加者情報の一元管理が可能となっています。こうしたWebアプリの積極的な活用により、臨床工学技士の業務効率化および情報共有の迅速化に大きく貢献しています。
○ Me-TOMASS
○ TOMASS-Web
臨床工学室主催 勉強会
当院では、院内スタッフを対象とした人工呼吸器、ベッドサイドモニタ、ペースメーカなどのME機器に関する勉強会を、月1回の頻度で定期開催しています。院内では多種多様なME機器が日常的に稼働しており、医療安全と機器の有効活用を図るためにも、適切な使用方法の周知と知識の共有に努めていす。

2024年度 勉強会
回数 | 対象機器・内容 | テーマ |
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第1回 | 酸素療法 | 酸素療法の基礎 ~適応と種類を正しく理解する~ |
第2回 | パルスオキシメータ | パルスオキシメータの基礎 ~SpO₂の値を正しく理解する~ |
第3回 | ハイフローセラピー | ハイフローセラピーの基礎 ~なぜハイフローセラピーなのか?その適応と意義を理解する~ |
第4回 | 人工呼吸器 | 人工呼吸器の換気モード基礎 ~換気モード 完全攻略!~ |
第5回 | 除細動器・AED | 除細動器・AEDの基礎 ~いざというとき、使えますか?~ |
第6回 | 生体情報モニタ | 生体情報モニタの基礎 ~モニタ関連のヒヤリ・ハットをなくそう~ |
第7回 | ペースメーカ | ペースメーカの基礎 ~読める!ペースメーカ心電図の基礎~ |
第8回 | 人工呼吸器(NPPV) | 急性期NPPVの基礎 ~NPPVのシーズンインですよ!~ |
第9回 | 人工呼吸器(加温加湿器) | 加温加湿器・ネブライザの基礎 ~快適な気道防御機能を保とう~ |
第10回 | 血液透析 | 透析療法の基礎 ~原理から治療までを理解しよう~ |
第11回 | フットポンプ | フットポンプ取扱いの基礎 ~VTE予防のために~ |
第12回 | 人工呼吸器(在宅) | 在宅用人工呼吸器の基礎 ~導入から退院までの概要と管理のポイント~ |